星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 トーナメント編 第1話

LIVEN' ON THE EDGE OF THE NIGHT



第8章


(緊張感が足りなくない?)

蘭丸に迫るビルド・アームを操縦していたのは、やはりエリであった。

「これだから、トーシローは困んのよね」

口に出した言葉は、無線が拾っていた。

「あまり無茶するんじゃないよ」

スピーカーからの返答もまた若い女の声であった。

「聞いてんじゃねぇよ」

スピーカーを一つ殴って言うエリ。
よく見れば、スピーカーを覆う鉄網が微妙に歪んでいる。

「聞かれてんじゃねぇよ」

スピーカーからの台詞に打撃音が続いた。
向こうの鉄網も歪んでいるに違いない。
そんな事をしているあいだにも、蘭丸のトレーラーとの距離は縮まっていった。

「軽い挨拶から始めましょうかね」

どうやらエリは様子を伺うことにしたらしい。
もっとも、どの程度『軽い』挨拶なのか疑問ではあったが・・・
エリの会話を聞いていたわけではないのだろが、ようやく立ち上がった蘭丸のビルドアーム。
その ビルドアームはかなり旧式であった。

「なにこれ・・・やる気あんの?」

エリである。

「あら。いい趣味してんじゃない」

これはスピーカーの声である。

(まったく、脳味噌がローテクだと趣味もローテクになるらしいね)

「壊さないようにね・・・」

スピーカーの声に何か言い返そうとして、既に蘭丸のビルドアームとの距離が近いが近い事に気付いたエリ。

「分かってるよ」

それだけ言うと、ビルドアームを戦闘モードに切り替えた。

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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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