星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 トーナメント編 第1話

LIVEN' ON THE EDGE OF THE NIGHT



第6章


「ウェルカム トゥ マイラボラトリ。ようこそ私の実験室へ」

通路に偽装した・・・実際、通路でもあったのだろう・・・巨大なエレベータの到着したところは、とても地下とは思えないような空間であった。
擂り鉢状に窪んだ半径100メートル程の円形の空間。
その20メートルほど上方の天井部分もまた歪(いびつ)なドーム形であった。
蘭丸を乗せた巨大エレベータは、その天井から突き出しているいくつかのエレベータシャフトのうちの一つを下ってきたものらしい。
蘭丸が周りを見回すのをマイクを片手に『どう?』という顔つきで見つめるエリ。
この場所が自慢なのであろう、蘭丸を急かそうとはしなかった。
時間にして30秒ほどもそうしていただろうか、蘭丸はトレーラーのエンジンをスタートさせた。
その音を聞いたエリは、慌ててマイクを置くと動き出したトレーラーの助手席側に周り込み、跳び乗った。

「とりあえず、まっすぐね」

さっきと同じ台詞であったが、今度の『まっすぐ』は手強かった。
雑然とした空間には錆びの浮いたコンテナや宇宙船の外殻と思しき巨大な物体、その他の雑多なスクラップの山の間が辛うじて『道』の役割を果たしている。
機械の森に出来た獣道といったところであろうか。
その獣道を確かめるようにトレーラーは進む。
隣のエリは何も言わなかったが、横目で蘭丸をちらちら見ながら何やら考え中のようであった。
蘭丸のほうも、そんなエリにはおかまいなしで、トレーラーの運転に集中している。
と、どれくらい進んだろうか、不意に前方に視界は開けた。
どうやら、擦り鉢の中心付近は落ち込みかたが急になっているらしく半径20メートルほどの円形の空間が見渡せた。

「ちょっと待ってて」

そう言うとエリは車を降りた。
トレーラーを止めた蘭丸は・・・これ以上、進めると擦り鉢に落ちるからである・・・また、待つ事になった。

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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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