星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
LIVEN' ON THE EDGE OF THE NIGHT
第4章
倉庫に眠っていたデニスのビルドアームのコンディションは上々であった。
仕事が仕事だけに、流石である。
しかし、オーバーホールとまでは言わないが、軽くばらして再度組み上げておきたいところであった。
が、蘭丸には如何せん時間がなかった。
(こいつを見てなんて言うか・・・)
フェイロン闘技場C−3ゲートで待つ蘭丸の時計は約束の時刻PM11:00まで2分を残していた。
「時間に正確なのは、いい事ね」
もとは白かったはずのグレーのつなぎに同じ色の帽子を被った背の低い奴が声をかけてきた。
「あたしよ」
目深に被った帽子から覗く髪は真っ赤。
それは、蘭丸のマッチメーカーであるエリであった。
「なにぼけっとしてるの、さっさとコイツを中に運びましょ」
トレーラーの助手席のほうに周り込みながらエリは言った。
肩を竦めつつ蘭丸は運転席に座った。
「で、どこに運ぶんだ」
エンジンをスタートさせながら問う蘭丸に、
「とりあえずまっすぐ」
シートベルトを締めながら前も見ずに言う赤い髪の女を蘭丸はどう見るのか・・・踏み込むアクセルはいつもと変わりがなかった。
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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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