星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

コロニーに取り付くべく飛び出した蘭丸の『歩ヒョウ』=『レン』
その運動能力はコロニーの遠心力をも凌駕するのか。
果たして・・・

星乱拳客伝 外伝 −三つ目− 第12巻

TOMMY THE CAT



第12章 Sient Knight IV
沈黙の騎士W


(逃がさねぇ)

蘭丸の念じるが如き強い思いは、彼の駆る『歩ヒョウ』=『レン』を『緋』の『歩ヒョウ』の方へ、頭上のコロニーへと飛ばせた。
コロニーまでの距離、十数メートル。
今まで頭上の風景の一部でしかなかった巨大な円筒が鋼鉄の壁となって迫る。
まずは右手であった。
エアロックと思しき小さな扉のわずかな窪みに指を掛けるや、そのまま体を引きつけ180度回転させ頭上のコロニーに着地した。
掴まれた窪みは、右手人差し指と中指の跡が付いている。
このエアロックは開かずのエアロックになっていることだろう。
そして立膝をついてコロニーに屈み込んだ形となった蘭丸の『歩ヒョウ』が次にとった行動は、

ごつん

と、コロニーに対して左拳を打ちつけた。
不可解な行動は更に不可解な行動へと続いた。
立膝を付いた姿勢からゆっくりと立ちあがる『碧』の『歩ヒョウ』。
遠心力という自然の摂理を覆し、
回転するコロニーの外壁に立つ『碧』の巨人。

「ユクゾ」

そう瞬いた『碧』の『歩ヒョウ』。
闘いはこれから始まるのであった。





次章予告

いかなる技か回転するコロニーの外壁に立った蘭丸の『歩ヒョウ』
対する『緋』の『歩ヒョウ』は未だ動かず。
はたして『緋』の『歩ヒョウ』を捉えることができるのか蘭丸よ・・・

外伝 第12巻
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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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