星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

『緋』と『碧』
巨大な人型はお伽話の『鬼』そのものであった。
相対する二人の巨人よ。
何を思う・・・

星乱拳客伝 外伝 −三つ目− 第12巻

TOMMY THE CAT



第3章 Scarlet Demon
『緋鬼』


闇の中。
数条のスポットライトに照らし出された二つの巨大な人型は対をなした博物館の展示物のように見えた。
『緋』と『碧』
対照的な両者は数百年前からそうしているかのように不動であった。
と不意に『碧』い人型が光を放った。
明滅を繰り返すそれは攻撃ではなく通信であった。

(我、闘イヲ望ム)

そういう内容であった。
古風なやりかたではあったが、間違えようのない単純で簡潔な通信である。
再び沈黙。
両者の間を流れる時が止まったかのように思えた。
と。。。

ZAN

と風が唸った。
次の瞬間、いくつかのライトのうちの一つが砕けた。
『緋』の人型が放ったスクラップがライトに命中したためである。
同時に『緋』の『歩ヒョウ』が跳んでいた。
しかし、それは・・・

(逃げやがった)

蘭丸の方へではなく、スクラップ置場の出口へ向かってであった。

(野郎)

何度か『歩ヒョウ』と対した事がある蘭丸であったが、こんなことは初めてであった。

(逃がさねぇぞ)

とっさに『緋』の『歩ヒョウ』を追った蘭丸であったが、
その『歩ヒョウ』を運んできた大型車両を蹴り上げることを忘れてはいない。
『緋』の『歩ヒョウ』から遅れること数秒、『碧』の『歩ヒョウ』が闇へ溶けた。
彼もまた闇の保護色を身にまとう闇の住人であった。





次章予告

『緋』の『歩ヒョウ』を追い闇の中へと身を躍らせた『碧』の『歩ヒョウ』。

闇を住処とする両者。

どちらが闇を味方につけるのか。

外伝 第12巻
次章:第4章 Midnight Run 疾走

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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