星乱拳客伝 外伝 −三つ目−


ついに本領を発揮しはじめた蘭丸
加茂の圧倒的パワーと完成した技術に対抗することができるのか蘭丸よ

星乱拳客伝 外伝 −三つ目− 第11巻

THE BLUE MASK



第6章 THE BOUT V 勝負(5)

真夜中。
造りかけの多目的ホールに灯された数条の明かり。
その明かりに照らし出された巨大な人影が2つ。
桃色のどっしりとした巨体の『歩ヒョウ』=『D・D』。
碧い三つ目。異形の『歩ヒョウ』=『レン』。
見守る者もないアリーナで『歩ヒョウ』同士の戦いが繰り広げられていた。

(このおやじ・・・強い)

蘭丸が祖父であり彼の師匠でもある榊藤十郎(さかきとうじゅうろう)以外の『ヒョウ師』に対してそう思ったのは初めてであった。
手数こそ蘭丸の方が勝っていたが、クリーンヒットは一発もなかった。
対して加茂は蘭丸の攻撃の繋ぎ目に掌を繰り出しゆく。
引き戻される蘭丸の拳や蹴りを追って打ち出される巨大な掌は数度、蘭丸の『歩ヒョウ』=『レン』の喉を胸を肩を打っていた。

(パワーだけじゃない、スピード、技の切れ、どれも尋常じゃない)

蘭丸はそんな思いを振り払うかのように、拳を放ち、蹴りを走らせる。
左中段前蹴り、左上段前蹴り、
蹴り脚を半歩前へ踏み込みつつ左拳でストレート。
続いて右拳のフックをフェイントに右下段回し蹴り。
更にフェイントに使った右拳でバックブローを放った後、
右の後ろ回し蹴りに繋げる。
左右に散らし、上下に振る。
蘭丸の猛攻は続いた。





次章予告


嵐のような蘭丸の猛攻。

しかし有効打は未だない・・・

加茂という名の巨大な壁には、お前の拳は通用しないのか蘭丸よ。

外伝 第11巻
次章:第7章 THE BOUT VI 勝負(6)

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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