星乱拳客伝 外伝 -三つ目-
深夜の多目的ホール
数条のスポットライトに浮かび上がった2つの巨大な人影
見守る者もないフィールドで静かな戦いが始まる
THE BLUE MASK
第4章 THE BOUT III 勝負(3)
ゴウ
と風を巻きながら重く真っ直ぐな右の掌底が迫る。
意外に深い踏み込みは蘭丸の予想を超えていた。
(こいつ、早い)
掌底を打ち出した距離とタイミングから様子見のフェイントだと踏んでいた蘭丸は攻撃方法の変更を余儀なくされていた。
(それに・・・重い・・・)
右掌の攻撃を左腕で内側に捌きつつ右脇腹に右中段回し蹴りを放つつもりであった・・・が、
ぎしぃぃ
蘭丸の『歩ヒョウ』=『レン』の右肩を加茂の『歩ヒョウ』=『D・D』の右掌が打ったのである。
(なんだ、このパワーは?)
あと少し左外側への踏み込みが足りなかったら、
そのまますっ飛ばされて場外になっていたところだったろう。
そんな純粋で巨大なパワーであった。
バランスを崩した蘭丸は倒れ込むようにそのまま左へ飛んだ。
その場に止まればコロニーのシャフトのような右脚が落ちてくることは明らかであった。
2転3転してアリーナの外周部ぎりぎりのところに立ち上がった。
「二代目、後がねぇぞ」
どこか楽しそうな加茂の言葉と巨大な圧力が蘭丸を押し包もうとしていた。
次章予告
追い詰められた蘭丸
加茂の巨大なプレッシャーの前にこのまま引き下がるのか
大きく加茂に傾いた形勢を覆すことができるのか
戦いは始まったばかり。
『ヒョウ師』たちの夜は長い。
外伝 第11巻
次章:第5章 THE BOUT IV 勝負(4)
『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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