星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
蘭丸の前に現れた、
『ヒョウ師』=『加茂』
そして彼の駆る『歩ヒョウ』=『D・D』
『蘭丸』と『加茂』
『D・D』と『レン』
真夜中
建設途中の多目的ホールで繰り広げられる戦いとは・・・
THE BLUE MASK
第3章 THE BOUT II 勝負(2)
睨(にら)み合う『歩ヒョウ』と『歩ヒョウ』
『ヒョウ師』=『蘭丸』と『ヒョウ師』=『加茂』
「いきますよ・・・加茂さん」
蘭丸の三つ目の『歩ヒョウ』=『レン』がチカチカッと光る、
光信である。
「そう焦るな二代目、まずはルール説明だ」
加茂も光信で返す。
「ルール?」
「そうルールだ」
「見ての通り、ここは建設途中の施設だ、壊されちゃ困る」
「そこで、このアリーナ外周部のグリーンの部分に出たら、そこでおしまいだ」
「おしまい?」
「出た方の負けってことだな」
「あとは特器とか武器のたぐいは、なしにしようや」
「危なくってしょうがねぇ・・・そんなとこだ」
「どうする?」
「どうするって・・・そりゃ」
「わりぃわりぃ、ここまできて止めるわきゃねえな」
「・・・こい」
「へっ、いきますよ」
と改めて加茂の『歩ヒョウ』を見つめると、
(とは言ったものの・・・)
左前でも右前でもない脚の位置、
深く腰を落とし上半身をやや前傾させた姿勢、
そして、両手は胸の前あたりに自然に配されている。
(ちくしょ・・・踏み込めねぇ)
蘭丸はいつもの左前構えでステップを踏みながら、
間合いをはかっていた。
一方の加茂は蘭丸が左へゆけば左へ、右へゆけば右へ正面を向けるだけであった。
(こいつ、ふところが深い・・・)
『山』
例えるなら『山』であろうか・・・
巨大で重厚な土と木々の圧力、
蹴りであろうが拳であろうが全てを飲み込んでしまいそうな、
そんな『山』の風格を有していた。
「どうした二代目、こないんならこっちから行くぞ」
そう言った瞬間、
加茂の『歩ヒョウ』が倍にも膨れ上がったように見えた。
『山』が・・・動いた・・・
次章予告
深夜の多目的ホール
数条のスポットライトに浮かび上がった2つの巨大な人影
見守る者もないフィールドで静かな戦いが始まる
外伝 第11巻
次章:第4章 THE BOUT III 勝負(3)
『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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