星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

深夜。
未完成のホールに明かりが灯る。
『加茂』と『蘭丸』
見守る者もないこのホールで、
二人の『ヒョウ師』が繰り広げる『勝負』とは・・・

星乱拳客伝 外伝 −三つ目− 第11巻

THE BLUE MASK



第2章 THE BOUT I
勝負(1)


「きてるか、二代目」

三日前の事を考えていた蘭丸をその言葉が現実に引き戻した。

「おい、いねぇのか二代目」

声が近づいてくる。

「ここです」

ゆっくりと起きあがりながら蘭丸が返答する。

「やっぱりきたか・・・そうこなくちゃな・・・」

薄暗闇の中で蘭丸の姿を確認して嬉しそうに笑うのは加茂であった。

「ちょっと待ってくれよ、いま照明の電源入れるから」

そう言いながら、配電盤かコントロール端末でも探しているのか、
円形アリーナの壁伝いに歩き始めた。
そして、その後を追うように四角い箱型の物体が続く、
『ヒツ』である。

「こうやって歩くのは、いいもんだなぁ」
「自分が『ヒョウ師』だってこと思い出すぜ」

そうして『ヒツ』を従えて歩くのが嬉しくて堪らないように加茂は言った。

「照明つけるぞ」

アリーナを半周ほどしたところで加茂が立ち止まり、ほどなくして照明が、
1つ、2つと灯っていった。

「みての通り建設中でな、まあこんだけありゃ見えるだろ」

アリーナに差し込んだ光は八つほどになっていた。

カラカラカラ・・・・・・

不意に加茂の『ヒツ』が変異し始めた。

「まあ見てくれ、二代目」

・・・カラカラ・・・

「こいつがオレの『歩ヒョウ』」

・・・・・・カラカラ カラッ

「『D・D』だ」

後ろを向いた薄桃色の『歩ヒョウ』の背中には濃紺の鯉(こい)が描かれていた。





次章予告

蘭丸の前に現れた、

『ヒョウ師』=『加茂』

そして彼の駆る『歩ヒョウ』=『D・D』

『蘭丸』と『加茂』

『D・D』と『レン』

真夜中

建設途中の多目的ホールで繰り広げられる戦いとは・・・

外伝 第11巻
次章:第3章 THE BOUT II 勝負(2)

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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