星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

海賊カラミティ・ジェーンにより、
停船を余儀なくされた、宇宙貨物船ブザリアジビリ号。
略奪行為を阻止する手段はここには・・・ない。
次々に繰り出される、海賊のビルドアーム。
宇宙貨物船ブザリアジビリ号の運命は・・・
そして、コンテナの中の蘭丸たちの運命は・・・
如何に。

星乱拳客伝 外伝 −三つ目− 第10巻

COLD METAL



第3章 the silent fight
静なる闘い


宇宙貨物船ブザリアジビリ号。
その廻りを7、8体のビルドアームが取り囲んでいた。
『港』ではよく見られる風景である。
ここが『港』ならば・・・
星の大海、ここはその直中であった。

チカッ

巨大な宇宙貨物船の船首部分が切り離され、
そのまま、慣性の法則に従ってゆっくりと進んでいった。
やがて、漆黒の宇宙に散らばる星々と見分けが付かなくなり、
そして・・・消えた。

「・・・小物は貨物船に移せ、大物は引っぱるぞ」
「急げ・・・」

船首の消え失せた貨物船に群がるビルドアーム。
慌ただしく、
しかし整然とした作業が続く・・・数十分。

大小のコンテナで被われていた貨物船ブザリアジビリ号であったが、
今はコンテナを取り付けるためだけにあるような細身の船体と、
取って付けたような機関部だけの哀れな姿をさらしていた。

「ジム、コンテナの接続を確認しとけ」
「他は撤収準備、急げ」

コンテナ分解作業用のポッドに工具を収納する者、
貨物船の扉付近に浮かぶコンテナを積み込む者、
そしてジムと呼ばれた男は、貨物船の外側に取り付けられたコンテナの接続を確認していた。

(・・・?)

「誰だ。左舷のコンテナ開けちまったバカは・・・」

虚空に向かって口を開く、巨大なコンテナ。
それは、
『紅』『碧』『黒』・・・三色の魔獣が宙に解き放された証であった。




次章予告

海賊カラミティ・ジェーンの貨物船に収容される大小のコンテナ。

その積込み作業も終わろうとしているとき、

貨物船の左舷で、そのコンテナは見つかった。

開け放たれたコンテナ。

その中には・・・

外伝 第10巻
次章:第4章 the silent fight (RED) 静なる闘い(紅)

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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