星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

辺境の実験用プラントの中で、再会を果たした3人
しかし、ここまでやってきた宇宙貨物船はなく、
このプラントに閉じこめられているという事実に、変わりはない
どうする、ラルク
どうする、蘭丸
どうする、天道

星乱拳客伝 外伝 −三つ目− 第10巻

COLD METAL



第1章 in the birdcage
鳥かごの中で


「『鳥かご』だったんですよ、あそこは・・・」

そう言うのは、漆黒の歩ヒョウを駆る『天道歩』である。

纏(まと)いを解いて、車座になった『黒』『碧』『紅』、三体の歩ヒョウ。
薄暗く、狭い・・・
いや十分に広いのだが、5mはあろうかという巨人が三体も蹲っていては、
さすがに狭苦しく感じた。

ここは、宇宙貨物船ブザリアジビリ号の貨物コンテナの一つ、その中であった。

『天道』『蘭丸』『ラルク』が再会を果たしてから、五時間ほどたっただろうか。
時間がありませんからと、言われるがままこのコンテナに潜り込んだ三人。
その数分後には、軽い衝撃とともにブザリアジビリ号が出航した。
そして、語り始める天道・・・

「纏(まと)いを解いて下さい、『糸電話』を回収します」
「偽装も、もういいでしょう・・・」
「それから簡単ですが、食事でもしながらこれまでの経緯を説明しましょう」
「どこから、話ましょうか・・・」

「俺と離れた所からだ。そこまではラルクにも簡単に話してある」

「では、そこから話しましょう」
「巨鳥の群に囲まれて、私と蘭丸さんが前後に分かれた直後、」
「どこかのセキュリティシステムが起動したのか、『目的地』を取り囲むように」
「鉄壁がせり上がってきました」

「それで、あの通信か・・・『港』で待ってろって」

「はい、あの通信のあと急いで『目的』を果たして」
「『港』に戻りました」

「その時だな、俺達と会ったのは」

「いえ、違います」
「私が戻ったとき、『港』には3台のビルドアームが待ち伏せていました」

「それじゃあ、俺達が戻る前に・・・」

「そうです、私が片づけました」

「!」「・・・」

「もっとも、あなた方にプラントの中で暴れていただいたお陰で」
「随分やりやすかったのですが」

「じゃあ、宇宙船はそいつらが?」

「いえ私が、船を出しました」

「なに?」「・・・!」

「あの船はもう使う気はありませんでしたから」
「片づけたビルドアームを放り込んで、出航させました」

「じゃあ、初めから?」

「そうです、月に何度かこのプラントから中継ステーションFR3に」
「プラントの巨鳥を運ぶ定期便が就航しています」

「それが、こいつって訳か」

「まあ、そう言うことで・・・」

「ちょっと待て、わざわざ鳥の群を突っ切って行く必要はなかったんじゃねえか?」

「まあ、他にもいろいろありましてね・・・」
「『鳥かご』だったんですよ、あそこは・・・ん?」

(・・・この感覚は・・・)

「減速してますね」

「って言うか、止まったぜこりゃ」




次章予告

宇宙貨物船ブザリアジビリ号。

その旧式の巨船が減速し・・・止まった。

目的地である宇宙ステーションは、まだ遠い、

この辺境宇宙で・・・

一体、何が・・・

外伝 第10巻
次章:第2章 space pirate 海賊

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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