星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 −三つ目− 第10巻

COLD METAL



序 章 the intruder
侵入者


沈黙であった。

疑惑と不信を内包した、重く、硬い、沈黙。

ここは、地球圏の外れにある巨大な資源用小惑星の内側に建造された、
実験用プラント。その『港』である。

「どこ・・・いったんでしょう」

問うたのは、紅い人型の巨人=『歩ヒョウ』を駆る、ラルクであった。

「さあな・・・」

答えたのは、碧い人型の巨人=『歩ヒョウ』を駆る、蘭丸であった。

そして、また沈黙・・・

小型の宇宙貨物船ではるばる辺境宙域までやってきた彼ら、
しかし、『港』に係留してあるはずの宇宙貨物船の姿はそこにはなかった。

「天道か?」

蘭丸が問う。
もう一人、彼らと共にやってきた男の名前を口にした。

「せやけど、あの人は・・・(プラントの)中で鉄壁の中に閉じこめられたて」

「ああ・・・そう言ったのは、オレだ」

「そしたら、このプラントの連中が・・・」

「そうだとしたら、待ち伏せなりなんなり、仕掛けてくるはずだ」

「・・・」

また、沈黙

なぜ?
どこへ?
それが、彼らの疑問である。
しかし、それを答えられる人間はここにはいない。
たとえ答えが出せたとしても、彼らがこのプラントに、
閉じこめられているという事実に変わりはない。

「お困りのようですね」

突然、声がした。
聞き間違えようのない声。

「天道」「天道さん」

頭上の作業用通路に天道の漆黒の歩ヒョウがへばり付いて、
こちらを睨んでいた。




次章予告

辺境の実験用プラントの中で、再会を果たした3人
しかし、ここまでやってきた宇宙貨物船はなく、
このプラントに閉じこめられているという事実に、変わりはない

どうする、ラルク

どうする、蘭丸

どうする、天道

外伝 第10巻
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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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