星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
エレベーターの前にたどり着いた、
蘭丸と、ラルク。
二人の到着を待っていたかの様に、
エレベーターの扉は、開いていた。
しかし、
なぜかエレベーター内部の照明は消えていた。
WALK ON THE WILD SIDE
終章 Black Business XI 仕事(11)
「着いたか」
巨鳥の群の追撃を振り切って、エレベーターの前までたどり着いた蘭丸とラルク。
「じゃ、登りましょうか」
紅い歩ヒョウのラルクである。
「のぼる?」
碧い歩ヒョウの蘭丸である。
「・・・いろいろ、あったんですわ」
そう言って、エレベーターの中に入って行く。
ふと見上げると天井には、無理矢理こじ開けたかのような穴が開いていた。
「何だこりゃ」
「エレベーターが動かんようになってしもたんですわ」
右手の黒い長剣を天井の穴に向かって投げ込むと、自らも身を躍らせた。
「なんだかなぁ」
未だ状況を把握しきれていない蘭丸も後に続く。
エレベーター天井の上に立った二体の歩ヒョウの頭上に、エレベーターシャフトが緩くカーブしながら伸びていた。
「これを登るのか?」
「ええ、まあ」
「徐々に重力も無くなりますから、見たほどでもないですよ」
お互いの情報交換をしながら、エレベーターシャフトを登ること十数分。
メインシャフトの出口付近に到着したときには、無重力になっていた。
「着いたな」
慎重に辺りの気配を伺いつつエレベーターシャフトから出る、二体の歩ヒョウ。
「C『港』です」
天道の貨物船の係留されている『港』へ向かう。
「エアロックは大丈夫か」
「ここは、大丈夫みたいです」
もどかしげにエアロックの扉を開け、中に駆け込む。
「いきますよ」
「ああ」
エアロック内のコントロールパネルを操作すると、
メインシャフト側の二重扉が閉まり、減圧が始まった。
「何が出るか・・・」
「楽しみだ・・・」
減圧が終了し、『港』側の二重扉が開いて行く。
(・・・?)
(・・・!!)
誰もいなかった。誰も・・・
「いない」
「どこいったんや」
『港』に係留されている筈の天道の貨物船さえも・・・
第9巻 完
『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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