星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

巨鳥の包囲網を破った蘭丸であったが。
巨鳥達の追撃は続く。
次第に近づく黒い巨鳥。
このまま逃げ切る事が出来るのか・・・

星乱拳客伝 外伝 −三つ目− 第9巻

WALK ON THE WILD SIDE



第9章 Black Business VIII 仕事(8)

ざん、ざん、ざん

緑の木々が目前に迫っては左に右に、ちぎれ飛んで行く。

ざん、ざん、ざん

緑の密林を疾る、碧い魔人。

ざん、ざん、ざん
ざん、ざん、ざん

どれほど走ったろうか・・・

「そろそろ着いても、いいんじゃねぇか?」

ざん、ざん、ざん

ザッ、ザッ、ザッ、ザッ

ざん、ざん、ざん

疾る碧い魔人の足音に、別の足音が近づき絡み付く。

「・・・以外と早いな」

ざん

ザッ、ザッ

ざん、ざん

ザッ、ザッ、ザザァァァ・・・

蘭丸の背後の木々を割って黒い巨鳥が舞った。

くうぇェ

一声鳴いて、前を疾る碧い歩ヒョウに嘴(くちばし)の一撃を放った。

カァァァン

碧い歩ヒョウの背中に描かれた白蓮に巨鳥の嘴がぶち当たる、そう見えた・・・が、

キュイン

急接近する木々の一本に添えた左手からワイヤーが伸びた、そして・・・

キキュン

左手ワイヤーの先の木を中心に急反転する。
蘭丸の特器術、斜綱(しゃづな)の一種で、左手の鋭利な分銅をすれ違いざま木に撃ち込み、
そこから伸びたワイヤーで急反転する技である。
そして、一回転した碧い魔人は、たたらを踏む黒い巨鳥の後ろに回り込んだ。

ごりっ ぐゥえっ

巨鳥の背中に飛び乗ったかと思うと、その首を捻った。

ズザァァ

もんどりうって地面に叩き付けられる巨鳥から転げ落ちる碧い魔人。
二転三転して、起きあがろうとする碧い魔人の左後方から殺気が突き刺さる。

クエぇ

振り返る蘭丸の目前に黒い巨鳥が迫っていた。



次章予告

港へと続くエレベーターまで、あと一歩と言うところで、
黒い巨鳥に追いつかれた、碧い魔人。
辛くも一匹を撃退した蘭丸であったが、
背中に突き刺さる殺気に振り返ると、
今まさに、
巨鳥が襲いかからんとしているところであった。

外伝 第9巻
次章:第10章 Black Business IX 仕事(9)

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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