星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

背後には、巨大な鉄壁。
眼前には、蘭丸を取り囲む巨鳥の群。
その数は先ほどの倍・・・
いや、それ以上であろう。
如何にして船に戻るのか。
如何にして巨鳥の群に対するのか、
蘭丸よ・・・

星乱拳客伝 外伝 −三つ目− 第9巻

WALK ON THE WILD SIDE



第8章 Black Business VII 仕事(7)

「ちくしょう・・・」

碧い魔人の中で、短く舌打ちする男。
この実験プラントにあるデータ記憶装置を破壊しにやってきた蘭丸である。
共にやってきた天道は、巨大な鉄壁の彼方に消え、
目的地も又鉄壁の向こうである。

さらに、そんな蘭丸を取り囲む巨鳥の群。
吹き付ける殺気。
動かない蘭丸。
次第に近づく巨鳥達。
その距離。

30m

25m

まだ動かない。

20m

15m

木々の隙間に黒い巨体が見え隠れする。

10m

さらに近づこうとした刹那・・・

きゅいん

右腕を上方へ振り上げると、分銅が上空へと消えた。

ぶぅん

巨鳥の第一陣が蘭丸に襲いかかる。

「しゃっ」

間一髪、上方へジャンプして、これを避けた。
しかし放物線を描いて落下するであろう地点には、巨鳥達が今や遅しを待ち構えていた。

きゃぃん

どういった事か、上空で右腕を下方へ振ると更に上空へと舞い上がった。
そして、そのまま・・・空中を舞った。
斜綱である。
[技の名前:斜綱(しゃづな)
技の説明:蘭丸の流派の特器術である分銅とワイヤーを使った技である。
分銅とワイヤーを使った移動術で、本来は宇宙空間などの無重力空間で、
高速移動を可能にする技である。
今回の場合はワイヤーを木の先端部に巻き付け、それを引っ張る事により、
更に上空へ移動した。]

ざっ

着地した場所は、プラントの自転も手伝って、
巨鳥の群の後方二十数メートルのところだった。

ざん、ざん、ざん、ざん。

巨木のあいだを縫うように走り出す。
港へ続くエレベーターに向かって。



次章予告

巨鳥の包囲網を破った蘭丸であったが。
巨鳥達の追撃は続く。
次第に近づく黒い巨鳥。
このまま逃げ切る事が出来るのか・・・

外伝 第9巻
次章:第9章 Black Business VIII 仕事(8)

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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