星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

緑の密林を行く、『天道』と『蘭丸』
目的地まで、30分あまり・・・
突如として現れた邪魔者。
彼らの『目的』を阻む者か、それとも・・・
背中合わせの2体の魔人を取り囲む者とは何者?

星乱拳客伝 外伝 −三つ目− 第9巻

WALK ON THE WILD SIDE



第5章 Black Business IV 仕事(4)



風が鳴る。



風が唸る。

轟 轟 轟

緑の密林を黒き魔人が疾走する。
しかし何という姿勢で走るのか、この巨人は・・・
その極端な前傾姿勢は、四足歩行の肉食獣を思わせた。
このような姿勢で人が走れるものなのか・・・いや、身長6mはあろうか巨体を人とは呼ぶまい。
『歩ヒョウ』。
人の操る人型の器械である。
ここは辺境の実験プラントのなか。
このプラントのデータ記憶装置を破壊するためにやってきた巨人を駆る『天道 歩』。
迎え討つのは・・・

ひゅん

疾走する巨人めがけて、頭上から振り下ろされる黒い影。
斧か、はたまた鉈か・・・
一撃必中の殺気をはらんだ一撃を中空に舞う羽毛が如く、上半身を捻(ひね)りつつかわした。
そして、振り下ろされた黒い影の後ろに回り込み・・・組みつく。

キラリ

右手の針が黒い影に滑り込むやいなや、針を残して黒い影から離れる。
どうと倒れ込んで動かなくなった黒い影。

「身体の構造は人と似ていますね」

倒れ込んだ黒い影の正体は・・・生物か?
羽毛に被われた身体と長い首、頭部の鋭い嘴(くちばし)は鳥類を思わせた。
例えるなら駝鳥(だちょう)、しかし体長5mの駝鳥など・・・

(蘭丸さんは大丈夫かな)

次の針を引き出す漆黒の歩ヒョウに、新たな巨鳥が迫っていた。




次章予告

襲いかかる巨鳥を一本の針で射止めた天道。
残る巨鳥は何匹いるのか。
そして、
前後に分かれた蘭丸は・・・

外伝 第9巻
次章:第6章 Black Business V 仕事(5)

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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