星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 −三つ目− 第9巻

WALK ON THE WILD SIDE



序 章 in the deep space
深宙


漆黒の宇宙空間を行く旧式の小型宇宙貨物船。
近隣のコロニーに向かう定期便であろうか。

しかし、何処へ・・・

ここは、辺境の地球圏。
忘却の彼方に置き去りにされた資源小惑星が漂うばかりの宙域。
と、不意に貨物室の扉が横に滑った。
その貨物室から突き出された黒い右腕。
そう、それは人の右腕だった。
しかし、この宇宙空間で・・・、その大きさは・・・
さらに続いて左手が口を開けた貨物室の縁をつかみ、
次に現れたのは漆黒の頭部であったが、
しかし、
目も鼻も口も頭髪すらない、まるで子供の作りかけの人形のような・・・

『歩ヒョウ』

そう、これは歩ヒョウと呼ばれる巨大器械である。
現れた、頭部に続いて胴、両脚が続き、
貨物船の船体にしがみつく全身を漆黒に染めたその姿は、不吉な影のようであった。
いや、その背中に赤い模様が・・・『てんとう虫』?
その歩ヒョウの背中には『てんとう虫』が描かれていた。

手?
いや、そんな筈は・・・
今し方、黒い歩ヒョウが現れた扉から碧い両手が突き出され、
貨物室の縁をつかんでいた。
しかし、貨物室は黒い歩ヒョウで一杯だったはずだ、一体どうやって・・・
そして、新たに現れた歩ヒョウは碧く、
その三つの目は虚空を睨んでいた。




次章予告

仕事の依頼で呼び出された蘭丸。

ここは・・・

『フェイロン闘技場』

軽い疑念を抱きつつも指定された部屋へ向かう蘭丸。

そこで、待ち受ける者は・・・

外伝 第9巻
次章:第1章 Welcome to the other side もう一つの『フェイロン』

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
(c)General Works