星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

交錯する『紅』と『碧』の歩ヒョウ。
ラルクの『紅刃』と、
蘭丸の『特器』と、
どちらが先か、
いや・・・
どちらが生き残るのか。

星乱拳客伝 外伝 −三つ目− 第8巻

FIGHT THE GOOD FIGHT



第9章 Red Blast VI 紅い旋風 (6)


疾風の如き『紅刃』と、神速で飛翔する『特器』。
そして、紅刃の方が一瞬速く・・・
迫りくる紅刃を目前に捉えながら、
その紅刃を避けるには蘭丸の『特器』は十分ではなかった。

ドダッっっっっ

(・・・?)

もつれ合いながら倒れ込む2体の歩ヒョウ。
その2体を戒めているのは・・・トリモチ?
そして、更に・・・

ドダ、ダッっっっ

2発のトリモチが撃ち込まれた。

(なんやぁ、これぇ)

(ちくしょぅ)

蜘蛛の糸に絡め捕られた2匹の甲虫のように動けない蘭丸とラルク。

「警告による闘技中断不可能と判断されましたので、拘束用トリモチを使用しました。」
「勝者はレフトコーナー、ランメール。払い戻し金額は・・・」

Buuuuuuu
BUUU
buuuuuuuuuu

闘技場のドーム型の天井付近に吊された発射筒から撃ち出された、
計3発のトリモチに強制終了させられた試合に、納得できない観客が不満の声を上げる。

紅刃を碧い歩ヒョウの肩口に軽く滑り込ませた位置で固まったラルク。

「この勝負、あいこやなっ」

もう一方の、ランメールこと蘭丸は、

「ああ。そんなとこだろう」

そういう、碧い歩ヒョウの左手に握った暗器。
その切っ先もまた、紅い歩ヒョウの下腹部に浅く潜り込んでいた。



次章予告


興奮さめやらぬフェイロン闘技場。

その観客席に周りとは異なった雰囲気の一組の男女がいた。

グレイ。

『R』。

二人の視線は試合が終わってなお、闘技場の歩ヒョウに注がれていた。

外伝 第8巻
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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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