星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

20mの距離を挟んで対峙する。
『歩ヒョウ』と『歩ヒョウ』
一刀を片手のラルクと、片足を負傷した蘭丸。
唸りを上げるのはラルクの一刀か・・・
はたまた、蘭丸の拳か・・・
この劣性を覆す事が出来るのか蘭丸よ。

星乱拳客伝 外伝 −三つ目− 第8巻

FIGHT THE GOOD FIGHT



第6章 Red Blast III 紅い旋風 (3)


この試合が始まってから、どれほどの時間が過ぎたのだろう。
実際には20分にも満たない時間ではあったが、何と内容の濃い時間だろう。
後の『フェイロン十番勝負』に数えられる名勝負である。
そして、その勝敗の行方は・・・

左腕をだらりと下げ、
右腕一本で必殺の一刀を正眼に構えた『紅い歩ヒョウ』=『ラルク』。
その姿は全身に返り血を浴びた異形の武将のように見えた。
そんな、ラルクの正面約20m程の距離をおいて、立て膝を付いてうずくまる『碧い歩ヒョウ』=『蘭丸』。

(痛かぁ、ねぇけど・・・)

ラルクの一刀に切り落とされた左足の膝から下の部分が痺れている。
まるで、左足の膝の辺りまでを冷たい流水にさらして感覚が麻痺しているようである。

(バランスが・・・)

片足がなくても、歩ヒョウを動かすのに支障はない。
しかし・・・
こんなにバランスが取れなくなるのか。
まともに立ち上がる事が出来そうにない。
うずくまった姿勢のまま、

(1つ、2つ、3つ)

腰の隠しに残った、分銅を数える。
それと・・・

(こいつだ)

残った右脚の足首の辺りに隠した暗器。
しかし・・・

(こいつじゃぁ)

その長さはラルクの一刀の1/3程の長さしか無く、
その差は如何ともし難かった。
そんな事を考えている間にも、ラルクとの距離は徐々に縮まり、残り15mとなっていた。
ラルクの方も先ほどの攻撃で蘭丸の特器術に気付いたのか、なかなか距離を縮められずにいる。
と、突然・・・

「WINNER、ランメール」

闘技場に勝利者コールが響いた。


次章予告



突然。

フェイロン闘技場に響く、勝利者コール。

騒然とする観客。

巻き起こる、ブーイング。

このまま終わるのか蘭丸よ、

その一刀を納めるのかラルクよ、

はたして・・・

外伝 第8巻
次章:第7章 Red Blast IV 紅い旋風(4)

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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