星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

ラルクの凄まじい殺気に、反則である特器術を使った蘭丸。
その必殺の右膝は・・・そして、
ラルクの不可視の攻撃は、
交錯する、『殺気』と『闘気』
その行方は・・・

星乱拳客伝 外伝 −三つ目− 第8巻

FIGHT THE GOOD FIGHT



第4章 Red Blast I 紅い旋風(1)


ギシィッ

紅い歩ヒョウの鼻っ柱に碧い歩ヒョウの右膝がめり込む。

「よしっ、このまま」

このまま、抱月(ほうげつ)に移行しようとする蘭丸であったが・・・

(なっ・・・)

「いくで、兄ちゃん」

左腕を抱え込んだままのラルクから殺気が膨れ上がる。

キゥン タァン

(つぅっ)

異音がしたかと想うと、引き上げ切っていなかった左ふくらはぎに、異物の潜り込むイヤな感覚がした。

「しゃっ」

膝下で切り落とされた左足を無視して、ラルクの頭上で一回転した蘭丸。
そして背中合わせになりながら、その勢いを殺さずラルクの首を掴んで・・・

ぐきっ

投げた。

ドシャァぁぁ

低い軌道を描きながら十数メートルを飛び、更にコンクリートの闘技場を転がった紅い歩ヒョウ。
そのラルクを投げ飛ばした蘭丸も、切り落とされた左足の為に大きくバランスを崩して、その場にうずくまった。
そして、そんな蘭丸に・・・

「無茶しょんなぁ、兄ちゃん」

身を起こしつつある紅い歩ヒョウを、その三つの目で睨みつけながら。

(こいつ、化け物か?)

自分の事を棚に上げて蘭丸が呟く。

「首もげるか、おもたわ」

そして・・・
立ち上がる紅い歩ヒョウの右手には、一振りの刀が握られていた。
その刀身は、歩ヒョウと同じ紅い色をしていた。


次章予告


ゆらり。

立ち上がる紅い歩ヒョウ。

ゆらり。

右手に紅い刀を握りしめて。

ゆらり。

『紅い』歩ヒョウ。

『紅い』刀身。

その『紅』は・・・

外伝 第8巻
次章:第5章 Red Blast II 紅い旋風(2)

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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