星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
勝負がついたかに見えた戦いであったが、
勝利者のコールは行われず、
もはや動く事は無いだろうと思われた紅い歩ヒョウが、
再び動き出す。
「Fight」
そして戦いは、続く・・・
FIGHT THE GOOD FIGHT
第2章 Come over from Darkside II
闇の淵から(2)
ギシィ
大きな軋み音を上げながらゆっくりと、しかし確実に起きあがろうとしているのは、深紅の歩ヒョウである。
ギシィ
右膝を立てて、うずくまるように・・・そして、その顔が上がる、蘭丸を睨み付けるように。
ギリッ
(そうかい・・・そう、こなくっちゃな)
低く呟くと、うずくまったままの紅い歩ヒョウに向かって走り出す碧い歩ヒョウ。
二体の距離は、急速に縮まる。
そして碧い歩ヒョウの繰り出す技は、必殺の蹴りか、はたまた、拳の雨を降らせるのか・・・
蘭丸の間合いまであと、二歩と言うところで、
キュン
(・・・?)
異音が早かったか、ラルクから吹き付ける殺気が早かったか、蘭丸はその動物的なカンで、ラルクに向かう勢いをそのままに、左前方に前転の要領で転がった。
(ちっ)
蘭丸の短く刈り込んである頭髪に、『歩ヒョウ』=『ラン』の束ねてある長髪が引き千切られる感覚が・・・
そのまま、2転3転。
吹き付ける殺気に、立ち上がりざま大きく距離を取っていた。
ゴリッ、ゴリッ
肩こりをほぐすかのように、軽く肩を揺すりながら立ち上がる紅い歩ヒョウ。
先ほど迄ずれていた左右の肩は元に戻り、その姿は、試合開始当初と変わりない姿になっていた。
「ほー、よう避けたなぁ」
それでも、まだ何処かおかしいのか、左腕を右腕で抱え込みながら・・・
「せやけど、次は・・・逃がさへんで」
次章予告
紅い歩ヒョウの不可視の攻撃。
引き千切られる、三つ目の長髪。
その攻撃を辛くもかわした蘭丸であったが・・・
紅い歩ヒョウから吹き付ける殺気の荒まじさは、いったい。
ラルクおまえは・・・何者?
外伝 第8巻
次章:第3章 Invisible fear みえざる物
『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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