星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
ギギィィィィッ
大きく軋み音を上げる、ラルクの紅い歩ヒョウ。
組み付いた碧い歩ヒョウの両腕は更に締め上げる。
このまま行けば・・・
初戦で敗退するのかラルクよ、
その生死の行方や如何に・・・
THAT'S NOT ENOUGH
第7章 demons V 魔人二人(5)
ギシィィィィィ
めちッ、めちめちッ
両腕に抱え込んだ紅い歩ヒョウから、生木が軋むような音がする。
身を捩(よじ)り、肘を打ち付けようと藻掻(もが)く紅い歩ヒョウ。
しかし、腰の辺りを両足で挟まれて下半身の自由を奪われ、上半身は、右肩口と左脇下から差し込まれた両腕によってギリギリと締め上げられている。
(いくら、あがいても・・・)
「無駄だ。」
ギリィィっ
更に締め上げる蘭丸。
それに合わせて、身体を仰け反らせたのはラルクの紅い歩ヒョウである。
「降参(タップ)しろ。これが最後だ。」
締め上げる力を緩めて蘭丸が問いかける。
「・・・ごめんだ。」
ガシィ
言い終わるが速いか、自分の後頭部を蘭丸の頭に打ち付ける。
(そうかい・・・じゃ)
決定打には、成り得ないラルクの反撃を無視して一気に、
ぎぎぃぃぃ
締め上げる・・・と、
ごりッ
胡桃を二つ手の中で擦り合わせたような、鼻の軟骨がへし折れた時のような音が鈍く響く。
(終わったな・・・)
不意に蘭丸が立ち上がると、足下には俯せの紅い歩ヒョウが横たわっていた。
その紅い歩ヒョウの左右の肩の位置は大きくずれており、壊れた操人形(マリオネット)のようになっていた。
内部のラルクの生死は・・・
次章予告
ごりッ
異音と共に動かなくなった、紅い歩ヒョウ。
俯せに倒れ込んだ紅い歩ヒョウから、ゆっくりと離れる碧い歩ヒョウ。
沸き上がる歓声。
そして、客席の誰かが言った一言。
「殺せー」
外伝 第7巻
次章:終 章 LARC ラルク
『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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