星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
ラルクにマウントポジションを取った蘭丸。
その猛攻は尚も続く。
蓄積されていくラルクの疲労。
何処まで耐え続けるのかラルクよ、
その紅い歩ヒョウは再び立ち上がる事が出来るのか・・・
THAT'S NOT ENOUGH
第6章 demons IV 魔人二人(4)
天井から吊された無数のライトを背にした三つ目の歩ヒョウが、仰向けに倒れたラルクの歩ヒョウに拳の雨を降らせる。
ガシッ、ギシッ
胴体の上に馬乗りになられた体勢のまま、防戦一方のラルク。
(ちぃぃ)
その異形の拳を伸ばしても蘭丸には届かず、組み付こうが離れようが、蘭丸の拳は止まることを知らなかった。
このままでは・・・
(何とかしないと・・・)
胴体に巻き付いた蘭丸の両足を何とか外そうと試してみるが、その両足は締め付けるでもなく締め付け、抜け出せそうで抜け出せなかった。
(なんて奴だ、こいつは。こんな戦い方、初めてだ・・・)
尚も打ち込まれる拳をかわして、身体を左右に振る。
左、
右、
左、
そして、右と見せかけて左へ。
(シャ)
蘭丸の両足の中で半回転したラルクは、亀のようにうずくまった。
蘭丸は一瞬、間をおいて右拳をラルクの右肩口から首筋辺りに打ち込んだ。
一発、二発、三発。
これを嫌ったラルクは、若干首を右に傾ける。
更に、四発目。
今度は、その拳を引き戻すことなく、ぐいぐい押し込んで行く。
(ちっ、この野郎っ)
その拳を阻止するように、更に首を右に傾け右肩を上げる。
「もらったッ」
叫んで、左拳をラルクの左脇腹に打ち込んだのは、もちろん蘭丸である。
(なにっ)
咄嗟に左脇を庇う。
これを待っていたのか、蘭丸の右拳がラルクの肩口から滑り込む。
そして・・・
(やられたっ)
右肩口からは右腕、左脇下からは左腕。その両腕がラルクの胸元でしっかりと握られていた・・・
「タップ(降参)しな」
蘭丸が静かに言う。
「まだまだッ」
ラルクが返す。その途端、ラルクに猛烈な圧力がかかった。
ギシィィィィィィ
蘭丸の猛攻は終わらない。
次章予告
ギギィィィィッ
大きく軋み音を上げる、ラルクの紅い歩ヒョウ。
組み付いた碧い歩ヒョウの両腕は更に締め上げる。
このまま行けば・・・
初戦で敗退するのかラルクよ、
その生死の行方や如何に・・・
外伝 第7巻
次章:第7章 demons V 魔人二人(5)
『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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