星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

一瞬の油断も入る余地のない、
熱く、
研ぎ澄まされた、
時間の中で・・・。
魔人達は戦う。
その一瞬に、全てを賭けて。
その一瞬に、全てが在るとでも言うかのように・・・

星乱拳客伝 外伝 −三つ目− 第7巻

THAT'S NOT ENOUGH



第4章 demons II 魔人二人(2)


ガシっ、ギシッ

ダンッ

打っては、さばき、
さばいては、蹴り、
蹴っては、距離を取る。
そんな、相手を探り合う様な戦い、そして・・・

蘭丸が打つ。
左拳、右拳、右上段回し蹴り。

ラルクが返す。
左上腕で受けつつ右ジャブ、右ストレート、左ストレート。

更に蘭丸が返す。
右中段でさばき、右に回り込みながら右上段回し蹴り。

また更にラルクが返す。
引き戻した左ストレートでガードしつつ、更に踏み込んで右のショートアッパー。

それを蘭丸は、右上段回し蹴りを引き戻す勢いを殺さず、そのまま左足を軸に身体を回転させながら、右裏肘。

その肘を喰らいながらも、ラルクはそのままタックル。

もつれ合いながら倒れ込む2体・・・そして、

上になっているのはラルク、下になっているのが蘭丸。
しかし、蘭丸の両足はラルクの胴体をしっかりと挟み込んでいる。

打ち込まれる、左右のストレート。

しかし・・・

あるものは届かず、またあるものは当たらず、残った数発も蘭丸の腕で軽くさばかれた。
そう、決定打はただの一発も入らない。

数瞬。
睨み合う、魔人と魔人。

「おい、楽しいじゃねえか」

「ああ、堪らないな」

(へっ)

(けっ)

刹那。
ラルクは覆い被さるように上体を伸ばし、左ストレートを打ち下ろす。
それを全身を右にひねって体の左側へ流す蘭丸。
そして、打ち下ろされた左ストレートが戻っていくのに合わせて、 右にひねった体を先に倍する早さで左にひねる。
その回転力で、ラルクの紅い歩ヒョウが大きくよろめく。
そして、半回転した歩ヒョウと歩ヒョウ。
今度は、蘭丸がラルクに馬乗りになった姿勢である。
先ほどまでと全く逆。いや、この体勢は・・・

ガシィィ

打ち込まれたのは、蘭丸の右拳であった。
更に、

ガシィ、ガシィ

打ち込まれる、拳の数々。
一方、ラルクのパンチは空をきるばかりである。
何故・・・

「あたらねぇよ。そっからじゃ」

両足で挟み込んだラルクをコントロールしながら、蘭丸が叫ぶ。


次章予告


フェイロン闘技場で繰り広げられる、

激しい打ち合い。

そして、グランドでの攻防。

マウントポジションを取られたラルクに逆転の可能性は・・・

このまま、終わってしまうのかラルクよ・・・

外伝 第7巻
次章:第5章 demons III 魔人二人(3)

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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