星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

目映いライトが幾重にも重なる、フェイロン賭博のアリーナで、
『歩ヒョウ』と『歩ヒョウ』が睨み合う。
『紅』と『碧』、
二色の魔人。
ラルクは・・・

星乱拳客伝 外伝 −三つ目− 第7巻

THAT'S NOT ENOUGH



第2章 red 


「Ready」

「Go!!」

遠くで、そんな声を聞きながらラルクは、

(・・・)

緊張しているのか、していないのか。
全身に力が入っているような、いないような。
徒競走のスタート位置にいるような、妙な感覚を味わっていた。

「はやく、始めろよ・・・」
「なにやってんだ」

一向に動かない、『歩ヒョウ』に痺れを切らした観客のヤジが聞こえる。
その言葉を聞いている間も、対戦相手の碧い『歩ヒョウ』から目を離す事はない、そして・・・

(よしっ)

キラッ、キラッ・・・

『我ト立チ合エ』

ラルクは、そう『光信』を送った。
『ヒョウ師』として。
それから、数秒して・・・

キラッ、キラッ・・・

碧い『歩ヒョウ』が煌めく。
その意味は、

『相判ッタ』


次章予告


フェイロンの闘技場に、時代遅れの魔人が二体。

巨大な仏像が如く、

神話の巨人が如く、

紅 と 碧

二体一対の彫像の様な『歩ヒョウ』が走り出す。

この二体、如何なる戦いを・・・

外伝 第7巻
次章:第3章 demons I 魔人二人(1)

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
(c)General Works