星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

霧雨の中。
街の中心部から少し離れた、
場所にその建物はあった。
鈍く輝くネオン。
『Fay-Long Ballroom』。
そう読めた。

星乱拳客伝 外伝 −三つ目− 第6巻

DON'T LOOK BACK



第2章 Fay-Long Ballroom I フェイロン賭博(1)


天気予告どうりの、雨空の下。
一組の男女が、ケバケバしいネオンが輝く建物の中に消えていった。
そのネオンは『Fay-Long Ballroom』。
そう読めた。

「まっ、敵情視察ってとこかな。」

「はぁ。」

一見、姉弟の様にみえるこの二人。『R』とラルクである。
新しい環境にもそろそろ慣れた頃であろうか。
最近はラルクのギャルソン姿もそれなりに見られるようになって、ラルク目当ての女性客も現れていた。
もっとも、本人は注文を間違えない事で頭がいっぱいだったのだが・・・今日は、店が休み。『フェイロン賭博』見学である。
『R』は一般客が買うことの出来る一番高価な席を2つ用意していた。

「経費で落ちるから。」

が、理由だそうだ。
入口の回転ドアをくぐると、向かって右手に闘技券(ベッティングチケット)の発券所。
そして、これから行われる試合の対戦者データ、オッズ、開始時間、確定した払い戻しの案内などが映し出されている、巨大スクリーンがそびえていた。
正面は6台のエスカレーターと幅広の階段が、地下闘技場へ客を誘い、左手は一面ガラス張りで、そこからは・・・

ゴン ガチーン
ギキャャャン

(何だこれ)

そこから見下ろした風景は、楕円形のアリーナを持ったサッカーかアイスホッケー場のようだった。
しかし、そのアリーナはコンクリートで覆われており、そこには・・・

ガッキッ

2体のビルドアームが、激しく打ち合っていた。

「何だ、こりゃ」

誰に問いかけるでもなく、ラルクがつぶやくと、

「これが、『フェイロン賭博』」

いつの間にか、売店で買ってきたらしいスポーツ新聞『Winner's Machine』(勝機)を片手の『R』室長が横に並んで言った。



次章予告

『R』とラルクの目前で、

巨大なビルドアームが打ち合う。

戦いの中へ身を投じるべく木星圏からやってきたラルク。

その胸の内に去来するのは、

希望か、

絶望か、

はたして・・・

外伝 第6巻
次章:第3章 Fay-Long Ballroom II フェイロン賭博(2)

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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