星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 −三つ目− 第6巻

DON'T LOOK BACK



序 章 a man from Jupiter 木星圏から来た男


木星。
太陽系で最も巨大な、古代ローマ神である(Jupiter)の名を冠せられた惑星。
太陽から離れること、778,360,000kmの宇宙空間に浮かぶその姿は、まさにオリンポス山の支配者。
その10時間足らずの短い自転周期は、この惑星を覆う分厚い雲層を赤道帯に押し広げ、この惑星をひしゃげた球形にしていた。

25世紀。
人類の貪欲なまでの版図拡大は止まることを知らず、その活躍の場を宇宙に求めて300年余り。
活動の中心は、木星圏へと移動し大小様々なコロニーが群をなしていた。

そんな時代、
木星圏のコロニー=『キャメロット』から、一人の男が旅立つ。
地球圏のコロニー=『京香(ケイカ)』へ向かって。
黒いコート、
黒いタートルネック、
黒いパンツ、
黒いショートブーツ
闇を切り取ったかのような男、『ラルク』。

ラルクの乗り込んだシャトルの小さな窓の外に見えるのは、ルッカ財団の中核を成す大型コロニー=『キャメロット』。
その向こうには、更に巨大な木星の大赤斑が見える。
コロニーの非現実的な大きさに目眩すら覚えながら・・・

「この度は、御搭乗頂きましてありがとうございます。当機、コロニー=『キャメロット』発、地球圏『中継ステーションE4』行3552便は、まもなく定刻通りにコロニー=『キャメロット』を出発いたします。『中継ステーションE4』到着予定時刻は・・・」

更に続くアナウンスを無視して、ラルクはコロニーの管理事務局へ提出する書類を書き始めた、

『名前−ラルク・マホガニー』
『年齢−22歳』
『性別−男』
『職業−研究員』



『コロニーへ入る目的−実験』



次章予告

見知らぬコロニー。

見知らぬ街角。

見知らぬ交差点。

立ち止まる、黒い美影身『ラルク』。

何処へ行くのか・・・

外伝 第6巻
次章:第1章 tea 紅茶

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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