星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

既に原型を留めていない実験機を見下ろす、ラルク。
その実験機に群がる、白衣の人々。
その様子を見つめているのは『R』室長である。
はたして、審査の結果は・・・

YOU JUST GOT LUCKY



終 章 flower 花


原型を留めぬまで叩き壊された、ビルドアーム実験機。

少し離れたところで、片膝を立ててしゃがんでいるのはラルクの紅い歩ヒョウである。

「いいとは、言ったけど・・・ここまでやるとはねぇ」

少々、呆れ気味に言ったのは『R』室長である。

「はあ」

気の抜けた返事をしたのは、いうまでもない、ラルクである。

「あなた、これに乗ると変わるわね」

ぽん、ぽん、と歩ヒョウを叩きながら、その周りを回る。

「あの、審査の結果は・・・」

正面から右膝の向こうに回り込んだ『R』室長に声をかけるラルク。

「あっ、ごめんなさい。忘れてた、合格よ合格。」

(なんだ、そりゃ)

ラルクの内心を知らぬ気に、

「あら、この花。綺麗ね。」

歩ヒョウの背中の花の絵を見ての言葉だろう。

「この花、『朝顔』? たしか、花言葉は『新たなる希望』だったかな。」

そう、
『朝顔』の花言葉は・・・
しかし、
その背中に描かれいるのは『夕顔』である。
そして、
その花言葉は・・・『安らかなる死』。

第5巻 完




『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』

(c)General Works