星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

巨大な実験室で『審査』を受ける、ラルク。
対するは、『タイプ5・ブレス』実験機。
そのボディに刻まれた、数々の刻印は何を意味するのか・・・

YOU JUST GOT LUCKY



第5章 the party 狂宴


その巨大な実験室に設置された計測器が、その無機質な視線をラルクに向ける。
その行動を一つ残らず見逃すまいとして。
そう、何一つ・・・

ぶぅーん

大きな風切り音と共に、実験機の腕が襲いかかる。
対するラルクは、ボクシングの構えをアップライト気味にした構えで、華麗なフットワークを使ってかわす。

ぶん

(やっぱり、面白いな)

ぶぅん

(喧嘩はっ)

ぶぅーん

「チェエヤァ」

ひときわ大振りな右腕の一振りを見逃さず、左へ回り込んだラルク。
実験機の右腕が伸びきったことでガラ空きになった右脇腹に、よくしなる右足の蹴りを叩き込んだ。

びしぃぃ

更に、

「チェヤァ、チェヤァ、チェヤァ・・・・・・」

びし、びぃし、がしぃ・・・・・・

その実験機の胴と言わず腕と言わず、左右の蹴りを叩き込む。
手当たり次第とはこの事か、このまま倒れることも出来ないかと思われた実験機も・・・

ギガシャン

ついにその巨体を実験室に沈めた。しかし、

「ほら、立てよ」

取れかかった、実験機の右肩の装甲版の間に手を突っ込み無理矢理引き起こす。

「オラッ」

既に動く気配のない実験機に、右膝を喰らわせると、

(次は・・・)

「これだっ」

既に木偶と化している実験機に左右のパンチを繰り出し始めた。

「シャァ、シャァ、シャァ・・・・・・」

ガシィ、ガシ、ガン・・・・・・

いったい、何発のパンチを繰り出したのだろう、その勢いは止まることを知らない。

「シャァ、シャァ、シャァ・・・・・・」

ガン、ゴン、コン・・・・・・

「そこまで」

天井のスピーカーから、『R』の声がする。

「ご苦労様、あがってちょうだい。」

(なんだ、もう終わりか)

「シャアァァ」

大きく一声叫ぶと、左足をその頭部(と言っても原型は留めていないが・・・)に叩き付けた。

ドンガラカッシャーン

実験機が、床の上で2,3度バウンドして止まる。

宴は終った。



次章予告

既に原型を留めていない実験機を見下ろす、ラルク。

その実験機に群がる、白衣の人々。

その様子を見つめているのは『R』室長である。

はたして、審査の結果は・・・

外伝 第5巻
次章:終章 flower 花

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』

(c)General Works