星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

人影のない湖畔に、砂塵が舞う。
疾走する『歩ヒョウ』。
待ち構えるは、ビルドアーム。
急接近する2体の巨大機械。
振りかぶられる剣と拳が、交差する時、
何が起きるのか・・・。



第6章 cause ・・・II 『ヒョウ師』であるが故に・・・(2)


『我ト立チ合エ』

彼は伝えた、その真の意味を知らぬが故に・・・。

『相判ッタ』

彼は伝えた、その真の意味を知るが故に・・・。

睨み合う、歩ヒョウとビルドアーム。

蘭丸から見て、左手5mほど先には湖面が見てとれた。
砂浜は右手20〜30mほどの奥行きで広がっている。
前方30mには、いささか大きすぎる長剣を抱えたビルドアーム。
その右斜後ろには、先ほど長剣を手渡したもう一体のビルドアームが控え、
更に後ろには、2体のビルドアームと武器を積んできたのであろうトレーラーが、小さく見える。

ザッ

『光信』を確認した蘭丸は疾った、ビルドアームへ向かって。

その距離、約30m。

25m、

20m、

急速に距離が縮む。
しかし、『光信』を発したビルドアームは未だに右手の長剣を振るう体勢にはない。

「ちょと、きみー」

この期に及んでそんな事を言うのか、このビルドアームは・・・
ビルドアームは後ずさるが、蘭丸は止まらず、そのスピードは増すばかりだ。

15m、

10m、

5m、

ぶつかる・・・
そう見えた刹那、ビルドアームの右手から黒い影が走った。

バシャァァァァッッッ

巨大な水飛沫をあげつつ湖に飛び込んだ、歩ヒョウとビルドアーム。
しかし、長剣を手にしたビルドアームは依然として砂浜に立ちつくしているではないか。
そう、黒い影とは長剣を手渡したビルドアームだったのである。
しかし・・・
縺れ合って湖中へ没した、歩ヒョウとビルドアーム。
どちらが生き残ったのか。
そもそも、水中での活動は可能なのか。

激しく上がっていた水泡も、今や消えようとしていた。



次章予告


縺れ合ったまま湖中へ没した、歩ヒョウとビルドアーム。

静まり始めた湖面。

水面下では、何が行われているのか、

そして、無事に帰還するのは・・・

外伝 第4巻
次章:第7章 cause ・・・III 『ヒョウ師』であるが故に・・・(3)
『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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