星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

人影もまばらな砂浜に、対峙する巨大な影が二つ。
一方は、ビルドアーム。
そして、もう一方は、歩ヒョウ。
似て異なる二つの巨体が打ち合う時、何が起きるのか・・・。



第5章 cause ・・・I 『ヒョウ師』であるが故に・・・(1)


「さあ、始めようぜ。」

そう言い放ち、トレーラーから砂浜へと歩みを進めるのは確かに、『歩ヒョウ』=『レン』である、しかし・・・。

「あっ、あぁ、始めようか。ランメールくん・・・? 君は本当にランメールくんか。」

そのビルドアームが疑問に想うのも当然、目の前の『歩ヒョウ』=『レン』は、以前見た時とは若干違っていた。
腰布状の装飾物。
手首から肘の辺りまでを覆う物体。
そして、
顔面の『三つ目』・・・。
そこには、あるべきレリーフの様な三つの目は無く、代わりに三つの黒口が穿たれていた。
その様子は・・・
異形の三つ目の髑髏(どくろ)あった。

「ああ、少々マイナーチェンジしたんでな。で、ルールは?」

一旦、歩ヒョウに乗り込めば、心に迷いなど無い。

「ルール?」

すっかり蘭丸のペースである。

「ルールは、どちらかが動けなくなるまで戦う。
それから、武器はこの中から選んでくれたまえ、ランメールくん。」


そう言うと何処から用意した物か、後方からトレーラーが現れた。
その荷台に積まれた武器の数々を示しながら、

「ぼくは、これを使わせてもらうよ。」

そう言うと、これも後方から現れたビルドアームから1本のいかにも高価そうな長剣を受け取った。

(けっ、気にいらねぇな。)

「オレは、要らねぇよ。」

「しかし、きみー。」

「ハンデだ、取っとけよ。」

「後悔しても知らないよ、きみー。」

「ああ。開始の合図はどうする。」

「それは、きみに合わせてあげるよ。」

そう言うと、ビルドアームの左胸あたりのライトがきらめく。

『我ト立チ合エ』

『歩ヒョウ』の光信と同じ信号である。

「こうするんだろ、『ヒョウ師』が戦うとき。」

「ああ、そうだ。」

そう言うと、『ヒョウ師』=『蘭丸』は、こう返した。

『相判ッタ』

と・・・。



次章予告


人影のない湖畔に、砂塵が舞う。

疾走する『歩ヒョウ』。

待ち構えるは、ビルドアーム。

急接近する2体の巨大機械。

振りかぶられる剣と拳が、交差する時、

何が起きるのか・・・。

外伝 第4巻
次章:第6章 cause ・・・II 『ヒョウ師』であるが故に・・・(2)

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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