星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

蘭丸を『ランメール』と呼ぶ、ビルドアーム。
このビルドアームの正体は?
そして、突然の挑戦を受けるのか、蘭丸よ。
この静かな湖畔に、何が起きようとしているのか・・・。



第4章 private fight 私闘


静かな湖畔の砂浜。
その場所には不似合いなビルドアームが1体、立っていた。
そして、そのビルドアームから大きな声がする。

「いや、きみと勝負がしたいんだ、『ヒョウ師』=『ランメール』くん。」

(・・・なんで『ランメール』なんだぁ? あの、おやじ・・・バラしたな・・・)
(それにしても、どうしてここが・・・)
(しかし・・・)

様々な想いが交錯する。

「怖いのかい、八百長くん?」

(なにぃ・・・)

「『歩ヒョウ』が必要だろ?待っててあげるよ、きみー。」

(なめやがって・・・)

「この勝負、受けた。」

低く言うと、きびすを返しトレーラーの方へ歩いていった。
しかし、トレーラーの荷台に乗るべきビルドアームは既に、クライアントに届けてあり、その荷台には、巨大なシートが掛けられているだけだ。
これから、『歩ヒョウ』=『レン』を取りに行くのか?
そんな時間は・・・。
しかし、その歩みは止まらず、蘭丸はトレーラーの荷台にかぶせてあるシートに潜り込んだ。
そして、

5秒。

10秒。

「隠れん坊かい。きみー。」

15秒。

カラカラカラカラ・・・・・・

突然、乾いた音がトレーラーの荷台から響く。
そして、そのシートが膨れ上がっていく、何も無いはずの荷台のシートが・・・

カラカラ・・・

なおも続く、音とシートの動き。
それを見つめる、ビルドアームが気付いたかどうか、
シートが膨れ上がるにつれ、荷台の車高が少しずつではあるが下がっているではないか。
これは、いったい・・・。

・・・カラカラ。

カラ。

不意に音がやむと、荷台のシートが一気に巨大化した。
中の物が立ち上がったかのように。
そして、
それを覆いきれなくなったシートがバサリと落ちる。
そこには・・・。

「待たせたな。」

そこには、三つ目の『歩ヒョウ』=『レン』が立っていた。

「さあ、始めようぜ。」




次章予告


人影もまばらな砂浜に、対峙する巨大な影が二つ。

一方は、ビルドアーム。

そして、もう一方は、歩ヒョウ。

似て異なる二つの巨体が打ち合う時、何が起きるのか・・・。

外伝 第4巻
次章:第5章 cause ・・・ (I) 『ヒョウ師』であるが故に・・・(1)

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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