星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

傷ついた『歩ヒョウ』=『レン』をトレーラーに乗せた、
『ヒョウ師』=『蘭丸』が行く。
その傷を癒やす為である。
しかし、何処へ
『歩ヒョウ』を修理できる人間とは?



第1章 craftsman 職人


「もしもし、バブさん?蘭丸です。」

「おお、蘭坊か?」

「また、修理お願いしたいんですけど。」

「おめーよぉー。またかぁ? まっ、倉庫に置いて店にこいや。」

「はい。」

「ぶつけんなよぉ。」

と、電話を切った時には既に、その倉庫の前にいるのであった。

(許可は、とった)

いつもの要領で電子ロックの番号を押し、巨大なドアを開く。
そこには所狭しと、完成品、半完成品、原型、小型、大型、超大型・・・模型の数々が置いてあった。

(『ぶつけんなよぉ』つってもなぁー、これじゃ)

なとか、いつもの所にいつもの様に置く事に成功した蘭丸は、店に向かうのだった。

カラン、コロン。 カラン、コロン。

「こんにちは」

昔ながらの珈琲屋のドアを開く。

「あら、蘭ちゃん。いらっしゃい。」

「よお、蘭坊。まあ、座れ。」

予約席と書いてある一番カウンターに近い席に、蘭丸を案内するとマスターは、厨房に消えていった。

「ここ、予約席でしょ?」

厨房に声をかけると、

「おめーの予約だよ」

(あっ、ちゃー)

以前より、少し貫禄の付いたマスターがコーヒーを何故か2つトレーに乗せてやってきた。

「はい、おまちどうさん」

コーヒーを2つとも蘭丸のテーブルに乗せると、自分も蘭丸の向かいに座った。

「注文は?」

「ホットドッグ、お願いします。」

「おめーよー、たまには別の物たのめよ。ホットドッグとミックスサンドとフライドポテト。」

注文を厨房の中の奥さんに頼むと、

「ところで蘭坊。『チビ太』ってネコがなぁ・・・」

・・・30分経過・・・

「で、今日はどうした?」

「『レン』が櫃(ひつ)に戻らなくなって」

「おめーよー、どんな乗り方してんだぁ?」

「いや、ちょっと」

「この前も両手の指。ぼろぼろだったぞ。」

「あれは、ついカッとなって。外伝第1巻第6章参照すいません。」

「まっ、何とかしてやるよ。早くて来週、遅くても来々週だな。」



次章予告


トレーラーをすっかり暗くなったガレージに戻す蘭丸。

しかし、そこには意外な先客が。

いったい誰が、

こんな時間、

こんな所に・・・。

外伝 第4巻
次章:第2章 factory 工場

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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