星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

裏道に迷い込んだ蘭丸。
3体のビルドアームに囲まれたトレーラーで、
この危機を脱する事が出来るのか。
のこりたった、
”5秒”で・・・。


第4章 countdown カウントダウン


夕暮れの裏道に、カウントが響く。

「”5”」

「”4”」

「”3”」

1台の大型トレーラーを3体のビルドアームが取り囲んでいる。
トレーラー前方の赤いビルドアームがカウントをしていた。

「どうしたのかな〜?」

これもトレーラー前方に陣取っている、黄色いビルドアームがトレーラーの運転席をのぞき込む。

「あれぇ、さっきまで居たのに、どこ行ったんだろう?」

しかし、トレーラーから人が降りた気配はない。

「なにぃ?」

トレーラーの後ろの黒いビルドアームが、カウントを待たずにトレーラーの荷台のシートに手をかける。

「”2、1、0”」

つじつまを合わせるように、加速したカウントが早かったか、黒いビルドアームがシートを剥ぎ取るのが早かったか?

ブワサッ

大きな音を立てて、シートが舞い上がる。
そのトレーラーの荷台から現れたのは・・・。

「へっ?」

「なっ?」

そこには、小さな楕円形の物体が一つあるだけだった。
そしてその物体には、穴が開いていた。
一つ、二つ、三つ。

「なんだ、こりゃ」

「どうしよう・・・」

「『どうしよう』じゃねえよ、ったく。で、どうする?」

赤いビルドアームが、黒いビルドアームに問いかけるが、

「・・・」

「おい」

「・・・」

「なんとか言えよぉ」

黄色いビルドアームがヒステリックに叫ぶ。

「どうしようもねぇな、バカどもがっ」

聞き慣れない声がすると、黒いビルドアームは、膝からガクンと崩れ落ちた。
その後ろから黒い影が・・・。
影の顔面には鈍く輝く三つの目があった。



次章予告


意表を突いた攻撃で、仲間をスクラップにされた『ジャンク屋』たち。

頭に血の上った『ジャンク屋』のビルドアームが襲いかかる。

迎え討つは『ヒョウ師』=『蘭丸』の駆る、『歩ヒョウ』=『レン』。

今、辺境コロニーの裏道で、鋼鉄の巨人がぶつかり合う。

火花を散らしながら・・・。

外伝 第3巻
次章:第5章 fierce fight 死闘

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
(c)General Works