星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

自らが賭博の対象になっているのを知ってか知らずか・・・。
はたして、3体のビルドアームを相手にどう立ち回るのか。
逃げるか?
戦うか?
どうする、蘭丸。



第3章 ambush 待ち伏せ


「ほんとか?」

夕日でオレンジ色に染まったあたりを見回して、蘭丸は呟く。
『工事の為、まわり道』の看板を見て、その矢印に従った結果である。

「おっかしいな」
もともと方向音痴である蘭丸。彼愛用のカーナビを見ても、目的地とは見当違いの方向へ進んでいる。

(しかし、引き返すにしても道幅が・・・)

などと考えていると、

「おい、そこのトレーラー、待ちな」

ガチャガチャと、どうやって狭い横道から出てきたのだろうかと思わせるビルドアームが前に2体、後ろに1体現れた。
蘭丸はトレーラーを止める、と言っても元から進んでいないようなスピードではあったが。

「兄ちゃん、いい玩具(おもちゃ)持ってんじゃねぇか」

トレーラーの前方、つぎはぎだらけの赤いビルドアームから声がする。
シートを掛けられた荷物を、見てのセリフだろう。
隠しようの無い、人型の荷物を・・・。

「ぼくちゃんに、その玩具(おもちゃ)ゆずってくれないかなぁ」

これも前方の、もう一体の黄色いビルドアームからだ。

「素直に、わたしゃ〜命までは取らねぇ。」

役割が決まっているのか、残った後ろの黒いビルドアームから声がした。
「今から”10”数える、その間に・・・逃げな。”10”」

赤いビルドアームがカウントを始める。

「”9”」

「”8”」

黄色いビルドアームがトレーラーの運転席をのぞき込む。
「モタモタしてると、踏みつぶしちゃうよ〜〜」

蘭丸は後部席で何やらゴチャゴチャやっている。

「”7”」

「”6”」

「”5”」

夕暮れの裏道。カウントが非情に響く。



次章予告


裏道に迷い込んだ蘭丸。

3体のビルドアームに囲まれたトレーラーで、

この危機を脱する事が出来るのか。

のこりたった、

”5秒”で・・・。

外伝 第3巻
次章:第4章 countdown カウントダウン

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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