星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

その部屋の壁に、
そこだけ異質な巨大スクリーンがそびえていた。
いったい、何を映し出すために。
そして、この人々は・・・。



第2章  the other side 


低いピアノの旋律。
テーブルに並べられた様々な飲食物の数々。
軽い食事を楽しみ、談笑する紳士淑女たち。
ホテルのパーティ会場のような空間の中で、その壁だけが異彩を放っていた。
壁一面の巨大スクリーン。
いったい、何の為に・・・。

リン、リーン

短く、高い鈴の音が響くと、ざわついていた部屋が次第に静まって行く。

「次のゲームの準備ができました。スクリーンをご覧下さい。」

男の声がすると、部屋の明かりが若干暗くなり、巨大スクリーンが燐光を帯びたかのように光り出す。

「次のゲームは3対1の変則マッチです。」

巨大スクリーンに文字や図形が表示される、その内容は・・・。

「レフトコーナーは、闘技場付近を縄張りにする『ジャンク屋』で、中型のビルドアームが3体です。」
「対するライトコーナーは、最近フェイロン賭博で人気の『歩ヒョウ』=『ランメール』です。」
「では、賭けて下さい。」


ああ、この上品そうな男達女達は、街で行われる襲撃事件を賭博の対象にしようというのか?
気が付かなかったが、各テーブルには小型のコンピュータ端末が、巨大スクリーンと連動してその入力装置として置かれていた。
笑いながら、食事をとりながら、楽しげにコンピュータ端末をたたく彼らは?
そして、このゲームを・・・いや、この襲撃を企てる者とは?

「そろそろ、締め切ります。よろしいですか?」

慌ただしく、巨大スクリーン上の数字が動く。

「締め切ります。」

と、一瞬静かになる。

「では、ゆっくりとお楽しみ下さい。」

男の声が響くと、またざわめき出す。
食べ物や、飲み物を補充しに動く人々。

裏賭博は、続く。



次章予告


コロニー=『京香(けいか)』を『歩ヒョウ』=『レン』を乗せたトレーラーが行く。

それを待ち受ける『ジャンク屋』たち。

自らが賭博の対象になっているのを知ってか知らずか・・・。

はたして、3体のビルドアームを相手にどう立ち回るのか。

逃げるか?

戦うか?

どうする、蘭丸。

外伝 第3巻
次章:第3章 ambush 待ち伏せ

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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