星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
如何にしてこの劣性を覆すのか、
はたまた、
闘技場のコンクリートに沈むのか、蘭丸よ。
第6章 the winner 勝者
必殺のヌンチャクと分銅は既に無く、立ちすくむ蘭丸。
一方、その長大な六角棒を振りかぶり、じりじり間合いをつめる『ラーフェン』。
その距離およそ、
30m
(どちらにせよ・・・)
20m
(間合いはヤツの方が・・・)
10m
(広いんだッ)
『ラーフェン』の間合いに入ったと同時に先ほどと同じく、『ラーフェン』は右上から六角棒を振り下ろし、蘭丸もまた右へ回り込みながら間合いを詰めていった。
が、
その動きを予想していたか、見切ったか、
右上からの攻撃を一転、六角棒のもう一端を左下から走らせた。
(ちいっ)
よく反応したと言うべきだろう、蘭丸は左へステップしてこれをかわした。
(いける)
後方へやり過ごした六角棒を横目で確認しつつ、目前に迫ったガラ空きの巨体にその拳を叩き込むべく、一歩を踏み出した。
刹那。
背中に重い衝撃が走る。
後方へやり過ごした六角棒が反転、背中を襲ったのだ。
そうと気付いたかどうか、
蘭丸は、六角棒を喰らいながらも打ち出した右拳で、よろけた『ラーフェン』の脇をすり抜ける。
『ラーフェン』も大きく踏み出した右足を軸に体を入れ替える。
その時、蘭丸の目の前一本のワイヤーが・・・。
(ヘッ)
子供がイタズラを思いついたかのような、堪らない笑顔を浮かべた蘭丸は、
(へやッ)
ワイヤーをひっつかむと、フワリと宙へ浮かび上がった。
一方、『ラーフェン』は回転動作中に、その動きが何かにひっかかった様に不意に体勢を崩していた。
蘭丸のつかんだワイヤーは、『ラーフェン』の左肩にからみついた分銅のワイヤーだった。
体勢を崩した『ラーフェン』は、左膝をつき、コンクリートの地面に六角棒の先を突き立てていた。
蘭丸は、両足をつま先から『ラーフェン』の首に巻き付くように、ちょうど肩車の格好になろうとしていた。
『ラーフェン』もこれに気付いたか、蘭丸をその巨体ごと後ろに倒れ込んでこれを阻止しようとする。
どワシャーン
派手な音を立てて倒れ込む、2体の巨大機械。
果たして、勝者は・・・。
次章予告
轟音と共に闘技場に沈む、
褐色の巨人と、
三つ目の魔人。
立ち上がるのは、はたしてどちらか?
あるいは、どちらも・・・。
外伝 第2巻
次章:終 章 shout with joy 歓声の中で・・・
『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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