星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
果たして、
オタスは、
蘭丸は、
戦いは終わらない・・・。
第5章 the dirty fight 暗闘
フィールドのほぼ中央部に30mほどの距離をおいて立つ、ビルドアームと歩ヒョウ。
片や、左腕が有り得ぬ方向にねじ曲がった巨大毒サソリ・オタス。
片や、ザンバラ髪の青銅の魔人・蘭丸。
オタスは残った右腕を威嚇するように持ち上げ、巨大なアームをゆっくりと左右に振りながら、蘭丸を待ち構える。動かない。
蘭丸も又、動かない。
「おいで、おいで、歩ヒョウちゃん」
「テメー」
ゆっくりと歩きだす、蘭丸。
一歩。また、一歩。
体内の怒りを練り上げていくように、歩を進めてゆく。
歩は、やがて疾走に変わっていった。
ぐんぐん距離を詰めていく。狙いは、コクピット。
(叩っ殺してやる)
疾走する蘭丸に向かって、潰れた左腕の外側から巨大アームが襲う。
(モーションが大きすぎるぜ)
残った右腕を警戒しながら、アームのギリギリ上を軽くジャンプしてかわす。
チカッッ
オタスの胴体中心部が一瞬きらめくと、銀色の飛翔物体を吐き出した。天井の照明できらめく。
(チッ)
間一髪、着地と同時に左腕で外側に跳ね上げる。
ドスッ
衝撃、圧力、重さの順番で左肩に異物感を感じながら、左斜め後方にもんどりうって、ぶっ倒れる。
「ふぁっ、ふぁっ、ふあっ、2発目が当たったようだね、それじゃあ、さよなら」
どうやら、2発の飛翔物体を同一線上に飛ばしたようだ。1発目は避けたが、2発目を食った。しかしこれは・・・。
「ライトコーナー、ブラッディーオタス。ルール違反です。機関を停止して、闘技を中止してください。闘技を中止してください。」
女声のアナウンスが響き渡る。
「うるへ、うるへ、うるへ、とどめを差すんだよぉ」
四本の足をガチャガチャいわせながら、距離を詰める。
「ザザ ガザッ・・・ 機関を停止して、戦闘を中止しろ。」
マイクをふんだくったマッチメーカーが、がなりたてる。
「うーるーへーつってんだろ」
右腕を大きく大きく振りかぶって、突き刺す。
無防備に横たわる蘭丸に向かって・・・。
次章予告
左肩に深々と鉄杭を打ち込まれ、フィールド上にぶっ倒れた蘭丸は気を失ったまま動かない。
迫り来る、毒サソリ・オタス。
振りかぶられる、必殺の右腕。
蘭丸はこの危機を脱する事が出来るのか?
外伝 第1巻
次章:第6章 game over ゲームオーバー
『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
(c)General Works