星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

このまま、蘭丸のペースで戦いは進むのか。
しかし、
オタスの叫びの意味するものとはいったい・・・。

第4章 the fake  まやかし


闇雲に残った右腕の突きを繰り出す、その間も左腕は小刻みに奇妙なダンスを踊っていた。

(右腕もへし折ってやる)

地面に浅く右腕が潜り込んだのをみはからい、オタスの上腕部に飛びついた。

ドガッ

蘭丸は右の肩口から背中、左の尻のあたりまで丸太で、ぶん殴られた様な衝撃と共に地面に叩き付けられた。

ギシッ

朦朧とする頭を振りながら立ち上がると、オタスの尻の部分から、もう一本巨大な節くれだったアームが生えていた。
いや、このアーム=尻尾は、あのゴツゴツした尻に擬態していたのだ。さっき、カニかクモと言ったが、サソリに訂正させてもらおう。
ようやく起き上がった蘭丸に向かって、巨大なアームを打ち付けてくる。

ドッス

ドッス

ドッス


前足(腕)ほどのスピードは無いが、パワーは段違いだ、不十分な態勢で受け切れるものではない。3発、4発食らった所で、5発目を取る、いや、つかまれた。
アームの先端が2つに別れ、コの字型のマニピュレーターになったのである、そいつに頭部をつかまれた。
が、身体はフリーだ。

(『蔓折り』・・・??)

ぐにゃりと関節が曲がる。
複合関節 [通常の関節と異なり、あらゆる方向に曲がるが、その構造上、通常の関節より大型になる、その強度は通常のものとあまり変わらない] 、
これでは、極まる筈がない。
ギリギリと頭部が締め付けられ、地面に叩き付けられる。

ドカッ

ドカッ

ドカッ

3度地面に叩き付けてから、引きずるようにゆっくりと持ち上げる。

「ぼくに、逆らった罰なんだなぁ、ゆっくり味わうんだなぁ」

(これじゃ操り人形(マリオネット)だ、畜生)

両手を貫手の形に構える。

「破ァァァアアアアアーーーーーーーーー」

両手が三角錐状に形を変えてゆく。

「破っ」

右手をマニピュレーターの基部に打ち込む、『楔』だ。
[技の名前−『楔』(くさび)。手を三角錐状に変異させる事により貫通力を高め、穴を穿つこの技、宇宙空間でバトルアームやビルドアームなどと戦う際、そのコクピットなどに穴を穿つ時に使う技であり、『組み千切り』の一種である。]

さらに、左手。

「破っ」

さらに、右手。

「破っ」

さすがに危ういと思ったか、再度蘭丸を地面に叩き付ける。

グワッシャーン

マニピュレーターが破壊され、自由を取り戻した蘭丸。
顔に残る、マニピュレーターの残骸を引き剥がすと、後ろで束ねてあった銀髪が解けて、一部が頬に纏わりついた。

(勝負は、これからだ)



次章予告


ついに、その本性を現したオタス。

必殺の巨大マニピュレーターの攻撃を辛くも防いだ蘭丸。

数十メートルの距離を挟んで睨み合う2体の巨大機械。

果たして、

オタスは、

蘭丸は、

戦いは終わらない・・・。

外伝 第1巻
次章:第5章 the dirty fight 暗闘

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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