星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

この猛攻を防ぎきる事が出来るのか、
そして、反撃の機会はあるのか、

蘭丸よ・・・。

第3章 the first hit 第1撃


(ブチン)

(俺の頭の中の何かが、ぶち切れる音だ)

なおも繰り出されるオタスの攻撃。
左、右、左、右、左、右、・・・・・。
それに合わせて、じりじりと後ろに下がっていく。
右、左、さばきながら下げた左足が外壁に触れる。

(好機)

オタスの攻撃はプログラム=機械まかせ、されたものだろう、動きのパターンは既に見切られていた。
左腕が戻りはじめる前に、外壁を蹴って一気に間合いを詰め左腕を取りにいく、オタスの上腕に外側から両足を絡め、肘を腹部に、肘より先の部分を左の脇の下に抱え込む。
蘭丸の行動に気づいた時はすでに遅かった。

ミチィィ

肘関節のケミカルマッスル
[化学繊維で出来た人工筋肉、オイルに浸したこいつに電圧を加えると、筋肉のように縮むが、あまり大きな力はない]
が悲鳴を上げる。

ブチィッ

一気にへし折る。『蔓折り』だ。
[技の名前−『蔓折り』(かずらおり)。
肘や膝など、関節を伸ばし折る技。蔓(つた)が絡み合う様子からこう名付けられた、腕ひしぎ逆十字のような技。又、この逆方向に折る技を『裏蔓』(うらかずら)、90度ひねりながら折る技を『斜蔓』(しゃかずら)という。]
折った刹那、大きく間合いをとっていた。
オタスは思い出したかのように蘭丸のいた空間へ、右の突きを繰り出すが、むなしく空をきる。
観客のどよめきとざわめき、何が起こったのか大部分が理解できないのだ。
頭上のスクリーンにリプレイ画像が表示されて、ようやく歓声が湧き上がる。
オタスの叫びが闘技場にこだました。

「んな゛ぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ」




次章予告


オタスの猛攻を『蔓折り』で切り抜けた蘭丸。

左腕を失ったオタスは?

このまま、蘭丸のペースで戦いは進むのか。

しかし、

オタスの叫びの意味するものとはいったい・・・。

外伝 第1巻
次章:第4章 the fake まやかし

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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