星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
最後に立っているのは、
そして、倒れ伏しているのは、
果たして・・・。
第2章 the first fight 初陣
50m、40m、30m、20m。
10m付近で蘭丸は左へ回り始め、オタスは前足をぎくしゃくと持ち上げ、蘭丸を追い始める。
胴元のおやじは信用ならないが、この手のビルドアームは確かに質が悪そうだ。
距離はさらに縮む。
8m、7m、6m、あと1mほどで、そろそろオタスの間合いに入る頃だ。
(ここらで一気に間合いを詰めるか)
そう考えていた所に、オタスはビゥンとくぐもった音をたてながら槍=スピア状の左腕を伸ばしてきた、肘から先の腕の部分が物理的に倍以上に伸びたのだ。オタスの左腕を右腕で内側に払いながら、右後ろにステップバックする。
(確かにルール上問題無いのかもしれないが・・・)
考えてる暇はない、オタスはなおもぎくしゃくと、間合いを詰めながら、間断なく左右の腕を打ち込んでくる。
(これじゃ、きりがない)
ひとまず大きく間合いを取る。
ここまで待っても、何の制裁措置やアナウンスが無い所をみると、あの腕はルール内らしい。
(観客がブーイングしている、奴のビルドアームに対するものではなく、俺にちょろちょろ逃げるなってことだ、畜生)
ザクッ
脅しのつもりか蘭丸の爪先すれすれに、オタスの左腕が突き刺さった。
「死にたくなかったら、とっとと帰るんだな、歩ヒョウ乗りさんよ、ははっ、はははははは・・・・・」
次章予告
「ははっ、はははははは・・・・・・」
闘技場に高々響くオタスの笑い声。
間断なく打ち込まれるオタスの左右の腕。
この猛攻を防ぎきる事が出来るのか、
そして、反撃の機会はあるのか、
蘭丸よ・・・。
外伝 第1巻
次章:第3章 the first hit 第1撃
『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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