星乱拳客伝 外伝 −三つ目−


序章 in the colony コロニーにて


時は25世紀、地球と月のラグランジュポイントにある小コロニー。
宇宙移住の中心が木星付近となった今、開発当初の賑いは既になく、荒廃の一途をたどると思われたこのコロニーであったが、ルッカ財団、警察機構、そして今は見る影も無いヒョウ師たち、これらの微妙な力関係でこのコロニーの秩序は保たれていた。
その一隅の小さな闘技場(コロセウム)。 ここにも微妙な力関係は及んでいた。闘技場と名付けられてはいるが、ここは賭博場である。
胴元(マッチメイカー)と呼ばれる試合を仕切る人々が、試合(マッチ)を企画(メイク)、独自のオッズを付けた、闘技券(ベッティング チケット)を販売し、賭博を成立させている、いわゆるフェイロン賭博 [フェイとロンと言う伝説上の生物を戦わせ、どちらが勝ち残るか予想するという意味らしい] である。
その収益の一部はルッカ財団に納められており、一応ルッカ財団や警察機構の許可は、降りているらしい。当然、裏では胴元を通さない闇賭博や、胴元自身もルッカ財団に報告しない闇賭博も行っているのだった。

そして今夜、
一人のヒョウ師が闘技場に立つ。
自分の力を試す為、
自分がヒョウ師である事の意味を確かめる為。

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