星乱拳客伝 10周年企画 十二拳聖ネモ 外伝版



シーン16

眼前の歩ヒョウは強かった。
しかし。。。
(オレほどじゃねぇやな)
多少強引にねじ込んだ前蹴りを食らったクワンの歩ヒョウは木々をへし折りつつ吹き飛んだ。
(ちっとばかし早いが、とっとと片付けるか)
一歩。
踏込んだその刹那、ギラリと光るモノが見えた。
(!)
反射的に身を捻る、
ガツン
左肩に衝撃。
肩口に突き刺さっていたのは何か連なった刃物のようなものだった。
「えげつないねぇ」
ネモがその刃物を抜き取ろうとする前に、それは自ら離れていった。
BariBariBariBariBari
雷鳴のような響き。
「いいねぇ、好きだよこういうの」
収まった土煙の中から現れたのはクワンの歩ヒョウ。
その手には鞭のような刃物が踊っていた。
ばりばりという轟音はこの刃物から出ているものである。
九節鞭。
そう呼ばれている武器であった。
先端に刃物を付け、短い棒状の節をいくつか繋げ逆の端を手に持って使用する。
(それじゃ、こっちも。。。)
ネモが背中に両手を回し、腰のあたりから抜いたのは。。。短めの棒であった。
歩ヒョウとのバランス感覚からすると太鼓の撥(バチ)のようにも見える代物。
右手のバチを器用にくるりと回転させると、まさに太鼓を叩くかのように構えた。
「へへん」




(c)General Works