星乱拳客伝 10周年企画 十二拳聖ネモ 外伝版



シーン15

最初の一撃で十分であった。
(こいつ、強い。。。)
クワンは自分が撃ち込んだ一撃でネモの実力を見抜いていた。
(噂通り、いや、それ以上か)
ネモの強さが分かったからと言って、ここで引く訳にはいかない。
次々に繰り出す攻撃のうち、何発かは当たる。
しかし、その当たった拳からネモの強さが染みこんでくる。
余裕?否
効いていない?否
それは闘いを楽しんでいる、真摯とも言えるような闘いに対する姿勢であった。
あえて言うなら『覚悟』とでもいったところか。
ぞくり
と背中がむず痒い。
(怯えているのか。。。オレは。。。)
一瞬の躊躇、そして、
ガツン
強烈な一撃はクワンを吹き飛ばすには十分なパワーであった。
木立をへし折りつつ地面を2転3転。
まき上がる土煙の向こうに悪鬼が如くネモの歩ヒョウの姿が見える。
恐怖で体が硬直し、冷たい汗がどっと吹き出る。
ギリリ
と奥歯をかんで立ちあがるクワン。
「久しぶりだな、こういう感覚は」
声に出して言うと、眼前の巨大な悪鬼にむかって吼えた。
でやぁっ




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