星乱拳客伝 10周年企画 十二拳聖ネモ 外伝版



シーン12

どん
と音がしたのは旧メトロポリタン美術館の上空に赤い光を確認した後だった。
「よし、いくか」
『合図』を確認したネモは『歩ヒョウ』=『シンバ』を走らせる。
地図は頭に入っていた。
目標地点へと直線的に動き始めたネモであったが、足元の不安定さに舗装された道へ進路を変更した。
(こんなとこでスッ転んでちゃ、かっこわりぃからな)
自嘲気味に一人口を歪めると『歩ヒョウ』=『シンバ』を更に加速させる。
かつての高級レストラン「ターバン・オン・ザ・グリーン」の前を通りすぎると、右手に広大な芝生が広がっている。
その昔、実際に羊が放牧されていたという「シープ・メドウ」である。
更に進むと、右手に池が現れる。
(たしか、この向こうに。。。)
池の向こうに城らしき建物が木立の間に見え隠れし始める。
(よし)
城の裏手にある野球場、その脇が目的地であった。
「さて、どこで待つかな」
野球場に入る手前で速度を緩めると目的のオブジェを確認しつつ周囲を確認するネモ。
「やっぱり、ここだな」
6面ある野球場のグランドの中心で腕を組み立つネモの歩ヒョウ。
まさに仁王立ちであった。
「さまになってるよなぁ」
その姿は勝者の風格さえ感じさせた。




(c)General Works