星乱拳客伝 10周年企画 十二拳聖ネモ 外伝版



シーン10

クワンが次に車を降りたのはセントラルパークの北の端。
2台のビルドアームが立ち、その間にクワンの櫃(ヒツ)が置かれている。
「こちらで間違いありませんか?」
車に同乗していたブロンドの女が櫃(ヒツ)を確認する。
「間違いありません」
クワンが軽く念じると、四角い物体はゆっくり動き出した。
女は急に動いた櫃に驚いたのだろう、びくりと数歩あとずさる。
「ここで纏います」
クワンは気にした風もなく人型を念じた。
カラカラカラカラ・・・
10秒ほどで、四角い箱は巨大な人型に変じていた。
「。。。あっ、ここがセントラルパークの北端です」
ぼーっと櫃が歩ヒョウに変ってゆくのを見ていたブロンドの女は自分の任務を思い出したかのように話し出した。
「ここより北への移動は逃亡とみなされます」
「南・東・西とも同じですので、気をつけてください」
女はそれだけ言うと、胸ポケットから携帯端末を取り出した。
「準備はよろしいですか?」
女の問いに、クワンは自分と同じ名の『歩ヒョウ』=『クワン』の腹部に納まって、
「準備完了だ」
そう返した。




(c)General Works