星乱拳客伝 10周年企画 十二拳聖ネモ 外伝版



シーン7

「放置されてる割には綺麗なもんじゃねぇか」
ネモは待ち時間の1時間をセントラルパークへの散歩にあてた。
もちろんこれから闘うべき場所の偵察である。
ひび割れた舗装路は流石に時の流れを感じさせたが、芝生などは伸び放題という感じはなく、ある程度手入れされていた。
これはセントラルパークが特定区域に指定されていることで、人間に適した環境へ調整が許されているためである。
カサカサッ
不意に聞こえた音に反応したネモも視線は左前方の木の下へ落ちた。
(なんだありゃ?)
そこには体長15センチほどの生物がいた。
リスである。
「おどかすなよ」
黒い瞳と大きな尻尾の小動物は前足を上げた姿勢で周囲を確認し背後の木に駆け上った。
「これが自然ってやつなのか。。。な?」
両腕を頭上で組みながら緊張感のない偵察は続いた。




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