星乱拳客伝 10周年企画 十二拳聖ネモ 外伝版



シーン6

セントラルパーク。
ニューヨーク、マンハッタン島にある南北4km、東西0.8kmの広大な人工公園である。
1850年代に作られた摩天楼のオアシスであったこの公園のほぼ中央東側にかつて美術館であった建物がある。
旧メトロポリタン美術館。
テラフォーミングの首謀者達は超高層ビルが立ち並びかつて摩天楼と呼ばれたマンハッタン島を定点観測地とし、もともと人工の公園であったセントラルパークを特定区域に指定し旧メトロポリタン美術館に観測拠点を置いたのである。
かくして様々な美術品が並んでいた巨大な建物は内部から補強され、その一部に23世紀の機器が、かつての展示物が如く並んでいた。
「スゲェもんだな」
巨体を揺らしながら旧メトロポリタン美術館をネモが歩いている。
前を歩くのは飛行場から同行している黒いスーツの巨漢である。
広い館内を迷うことなく歩を進めて行く。
ネモもゆっくり館内を楽しむような人間ではないから文句はないようである。
っと不意に周囲が明るくなる。
「ほぉー」
旧メトロポリタン美術館の裏庭。
その向こうにはセントラルパークが広がっている。
「1時間後、こちらの席にいらしてください」
黒いスーツの巨漢がいくつかある席の一つを指し示している。
「禁止区域以外は立ち入りは自由です、簡単なお食事もそちらにご用意しておりますのでご自由にどうぞ」
巨漢は機械のように一礼して歩き去った。
「1時間か。。。」
そういうネモは既にサンドイッチの三角を右手にしていた。
「はんほへほふふはは(散歩でもするかな)」
もごもご言いながら左手のコーヒーをすすると、
「あひっ」
ネモは猫舌であった。




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