星乱拳客伝 10周年企画 十二拳聖ネモ 外伝版



シーン5

クワンが空港に降り立ったのはネモに遅れること1時間。
無論、クワンが知ることではない。
「っっっかぁ〜」
と両腕を広げ大きく伸びをする様はネモと同類であった。
(まさか地球に降りることになるとはな)
地上へと続くタラップの最後の一段で一瞬止まったクワンであったが、さしたる感慨もなく地上へ歩みを続けた。
上空からでは解からなかったがターミナルビルは当然使われておらず、近づくにつれ、その荒廃ぶりが眼につくようになってきた。
200年。。。人類の作り出したモノを無にするには短く、過去の栄光を止め置くには長すぎる時間であった。
「こちらへどうぞ」
気がつくとクワンの前にブロンドの白人女性が立っていた。
ネモが知れば「どうしてそっちは女なんだ!」と暴れだしかねない状況であったが、幸いネモは既にセントラルパークにいる頃である。
クワンもまた高級そうな黒い長い車に導かれると、その後部座席へ吸い込まれた。
「セントラルパークまでは30分ほどです」
同乗した女はネモに付き添う男と同じ台詞を口にした後、同じように口を閉じた。




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