星乱拳客伝 10周年企画 十二拳聖ネモ 外伝版



シーン2

「ほぅ、要するに取引って訳だな」
ネモは大柄な体であぐらをかきながら左手で頬づえをつき、その文面に眼を通していた。
コロニー「ニューラダック」の治安維持に関する権限の全てを賭けた勝負。
解かりやすくいうとそういう事だ。
この宙域に出没する海賊や、街の治安を守っているのは自分だという自負はあったが、政府のお墨付きがあるのとないのでは雲泥の差がある。
勝負に負けた場合は『提供してもらった施設』を政府に返した上、酷く行動を制限される。
しかし。。。
「負ける訳ねぇやな、ってかコイツ誰だ?」
対戦相手に記されたヒョウ師は聞いたことの無い名であった。
「しかも、地球で暴れられるなんざ、そうそうあるもんじゃねぇしな。。。決めた!」
立ちあがった長身を周囲の取り巻きが見上げる。
「てめぇら、面白れぇ事になってきやがったぞ」
カカカとネモは豪快に笑った。




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